ARCHITECTURE

中川 宏文

2021.05.06

「建築がある日常」04

長らく更新が途絶えてしまっていました連載を再開いたしました。

今年は月に1本程度を目標に書いていければと思いますので、よろしくお願いします。

コロナウィルスのパンデミックから1年半が経ちましたが、未だ生活の中で制限されることが多く、気軽に旅行などにも行けない日々が続いていますね。

コロナ以前でも頻繁に海外へ行けていたわけではありませんが、このような状況が続くと、旅行に行きたい欲がどんどんたまって、昔の写真などを掘り返してみたり…。同じようなことをして、旅行欲を抑えている方々がいるのではないでしょうか。

しかし、掘り返すだけではもったいない。

以前から、建築紹介の記事なども書いてほしいとリクエストがありましたので、この連載を利用して、国内外の建築や風景を紹介しながら、クラウドに保存してある写真たちを整理していこうと思います。

第1編は『スイス 北イタリア縦断コース』

学生時代にオーストリア西部の街、Feldkirchにある設計事務所〈marte-marte-architects〉にインターンでお世話になっていたこともあり、隣国スイスにはよく旅行に行っていました。

連載では、ただ紹介するだけではなく、読んでくれた方々の旅程の参考になればと思っていますので、今回は自分が辿ったルートに沿ってご紹介していきます。


スタートはスイス・チューリッヒ(Zurich)

スイス中央部、チューリッヒ湖の北西端に位置し、
隣国によって語圏が変わるスイスで、ドイツ語圏(スイスドイツ語)の地域です。

〈チューリッヒ国際空港〉〈チューリッヒ中央駅〉は、欧州各地へ繋がる交通の要所。日本からも直通便が飛んでいるので、欧州旅行の拠点としても利用できます。

そして、建築学生ならよくご存知の名門大学〈ETH(スイス連邦工科大学)〉がある街です。

さて、今回紹介する建築は、
〈チューリッヒ大学法学部図書館(Rechtswissenschaftliche Bibliothek)〉

既存建物(書庫)の中央に吹き抜けをつくり、その吹き抜け周りに閲覧用のデスクを配置した建築です。

設計者はスペインの建築家、サンティアゴ・カラトラバ(Santiago Calatrava Valls)

9.11同時多発テロ後、再建された〈One World Trade Center〉を中心とした高層ビル群の中にある駅〈World Trade Center Transportation Hub〉を設計したことで有名です。

カラトラバの建築は、動物の骨のような構造体の連続が特徴的ですが、この図書館はその構造体の表現が少々控えめ(天井の白い部分)。

しかし、吹き抜け空間に線材で構成した床を積層するカラトラバらしい構造のダイナミクスさに加えて、その連続する構造体を美しく見せるように照明を配したり、細い木ルーバー(吸音効果もあるのかな)で肌理のある面をつくっていたりと、線の表現の強弱でまとめ上げられた空間。

秀逸でした。

チューリッヒには、カラトラバの設計した鉄道駅〈Bahnhof Zürich Stadelhofen〉もあるので、図書館と合わせてカラトラバ作品を堪能できます。

次回は、最近増改築工事が終わった国立博物館〈Landesmuseum Zürich〉をご紹介したいと思います。お楽しみに。

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中川 宏文

1989年長崎県生まれ。熊本大学工学部建築学科卒業後、東京理科大学大学院・工学研究科建築学専攻に進学。オーストリアの建築設計事務所でのインターンシッフなどを経て、2016年に大学院を修了し、坂牛卓教授が主宰する設計事務所〈O.F.D.A.〉に就職。それと同時に、地域おこし協力隊として、東京と富士吉田市を毎週行き来する二拠点居住&ダブルワークをスタート。現在もその働き方を継続しつつ、富士吉田市では、建築設計活動だけでなく、行政や地元企業、大学生と共に、まちづくりに関わる企画立案や構想作成などに取り組んでいる。これまでの主な設計事例は「ふじよしだ旧製氷工場コンバージョン」にて〈ふじよしだ定住促進センター〉や〈FUJIHIMURO〉の設計、「坂牛邸」の設計など。

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