FUJIYOSHIDA DIARY MAGAZINE

コミュニティ

大沼博之

2021.08.18

〈ウブントゥ〉園長の連載「子どもたちの未来を考える」01 -自己紹介-

「ウブントゥ」とは、他者への感謝という意味をもちます
山梨県を拠点に保育に取り組む私のこと

はじめまして。自分は山梨県富士五湖地域で5つの園を営む〈ウブントゥ〉の代表を務めています。自然が豊かなこの街で、子どもたちと向き合う日々はやりがいにあふれています。

子どもたちの将来を思い、自分たちに何ができるだろうか。

日々考えている思いを、〈you FUJIYOSHIDA〉でも綴ってほしいという依頼をいただき、今回から連載をしていくことになりました。どうぞよろしくお願いします。

さて自分は現在、忍野村の認定こども園〈ウブントゥ 忍野の森〉の園長をしていますが、高校時代は桂高校でラグビーに明け暮れ、東京に出てからはサラリーマンをやりながら音楽をやっていました。

当時は、まさか幼児教育の世界に関わらせていただくとは、まったく思ってもいませんでした。

そんな自分が幼児教育に関わっていくきっかけとなったのは、妻との出会いでした。

東京暮らしから一転、結婚と同時に山梨に帰ってきましたが、何の仕事をしようかと考えていました。そんなときに、自宅で託児所をしていた義理の母が、「託児所を手伝ってみる?」と声をかけてくれたことがはじまりです。

「子どもが好き」という、簡単な動機で入ったのがこの世界です。

そして、この仕事には保育士資格が必要となり、しっかり学んで資格を取るために、通信制の大学に入学し、保育士になるために勉強を始めました。

結婚を機に山梨県に帰郷。
サラリーマンから転身し、通信制で保育士の勉強を重ねながら現場へ

初日は、男の先生ということもあり、子どもたちがとても喜んでくれました。子どもたちの笑顔に囲まれる仕事は、とても充実感があり、幸せを感じました。

朝の時間は保護者も時間がないということで、その日の子どものお迎えの時間に、保護者一人ひとりにご紹介していただきました。

そのときに、「新しい先生です」の“先生”という肩書きを受けて、自分自身に衝撃が走ったことを今でも忘れません。

自分が生きてきたなかで、“先生”と呼んできた方々のことを考えると、サラリーマンをしていた自分が、先生になったことに違和感を覚えました。迎えに来る保護者に「先生です」と紹介される度に、違和感が不安に、不安が心配になっていきました。

しかし、その不安が自分のやる気スイッチをオンにしてくれました。

先生と呼ばれる以上、勉強して1日でも早く保育士になりたいと強く思うようになりました。

朝は8時から仕事がはじまり、夜は7時くらいに仕事が終わります。それから家に帰り、ご飯を食べ、それから勉強です。眠くなっては仮眠をとり、明け方まで勉強をする日々が続きました。

現場と夜中の勉強。「保育士」として前進するために奮闘した日々

現場経験と資格取得のための勉強の日々。通信の大学で資格を取るには、何度か学校に行かなければならなく、最短でも2年間必要で、仕事の都合で大学の予定通りに行けなければ更に時間が必要でした。

国家試験を受ければ、1年で資格取得できることを知っていた自分は、「すぐに保育士になりたい」という強い気持ちを抑えきれず、大学を退学し国家試験を受けることにしました。たしか、1か月在籍していたかどうかだと思います。

入学金やら教科書やら結構なお金を使い、迷いましたが、時間を優先しました。

辞めたからには絶対に一発合格を目指し、過去にない集中力で勉強に没頭しました。試験まで半年ないなかで9教科、一次試験へ。

結果は、まさかの8教科合格、残り1教科は1点足らずで1年目はニ次試験まで行けませんでした。その代わり、翌年は1教科のみの受験となり見事一次試験と二次試験を突破し、2年で保育士資格を取ることができました。

私の保育への思い

さて、ここまでは保育士の資格を取得するまでのことを書いてみました。
最後に、私がいる〈ウブントゥ〉のことをご紹介させてください。

「ウブントゥ」とは、他者への感謝という意味があります。

現在、〈ウブントゥ〉は5園、そして2022年には6園となりますが、決して園の数を増やしたいわけでなく、「子どもたちにできることを一番大事にしてきたこと」で今があります。

ただ子どもを預かるだけであってはならない。

そして自分自身にとっての保育所ではなく、子どもたちにとっての保育所を常に考えて沢山の活動をしています。

子どもたちにとっていいことをしてあげたい一心で、いろいろなことに挑戦しています。

日々、成長をし続ける子どもたちの手助けをどのようにしていくか? を保育士同士で常に最善を考えています。

しかし、そうはいっても常にうまくいくわけではありません。

すぐに答えを言ってしまったり、すぐに手をかしてしまったり、場面場面で試行錯誤を繰り返し子どもとの向き合い方を考えています。

その中で、ウブントゥで大事にしていることがあります。

「子どもの可能性に蓋をしない」ということです。

先生が、その子にとって、「これくらいなら」「これくらいまで」と判断するのは無責任です。

「◯◯になりたい!」「◯◯したい!」はやってみたらできるかもしれません。
ドリームキラーになってはいけません。

子どもの可能性は無限であり、蓋をしてしまったら蓋から上にはいけません。

また、子どもたちは自ら環境、先生を選べません。
乳幼児期の子どもたちの生活において、毎日が小さな挑戦の積み重ねです。

子どもたちと一緒に過ごす先生の思考がとても重要です。

今後は、〈ウブントゥ〉が大切にしている考えと取り組みを紹介していきます。

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大沼博之

認定こども園・保育園〈ウブントゥ〉園長

1977年5月2日生まれ。
26歳のとき、自分の思いと現実の差を感じ、「子どもたちのために自分にできることを」と、サラリーマンをやめて保育資格を取得し現場に入る。2003年から〈ウブントゥ〉にて、保育園・学童保育・森のようちえんと年齢に合わせた園で、毎日の小さな積み重ねを大事にした保育をする。

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