今回は、食育について書かせていただきます。
「食べることは生きること」
食べたもので身体ができていることは誰もがわかかっていると思います。
バランスの良い食事を摂れば、バランスの良い身体に、
偏った食生活をしていれば、偏った身体になっていきます。
好き嫌いがあれば、どうしても好きなものや食べたいものを、選んで食べてしまいがちです。
大人は自分の食べるものを自分で選び、自己責任で体調管理をできますが、子どもたちは違います。大人が選んだものを食べています。
そのことを最初に考えた時に、自分は保育園の子どもたちに毎日食事を提供している者として、しっかり考えて食事を提供しなくてはならないと責任感を抱きました。
「大人が知識を増やして、子どもにとってより良い食事を」と。
「好きなものならよく食べてくれるから」「野菜は食べないけれど肉なら食べるから大丈夫!」と好きなものばかりあげていること。
「子どもがほしがるから」「ジュースをむやみにあげたり、スポーツドリンクなら大丈夫!」といって変な安心感から必要以外の時にあげていること。
「お菓子は喜ぶから」「子どもが喜ぶんだからしょうがない!」と言って、子どもの判断でほしいものをあげていること。
大人がしっかりとしないと「大きな間違いが当たり前になっていないか」とハッとしました。
子どもが喜ぶ食べものでも、子どもの身体が喜んでいるとは限りません。
〈ウブントゥ〉の給食はたくさんの先生方のアドバイスから、現在の「まごわやさしい」になっています。
「まごわやさしい」とは、
ま(豆)
ご(ごま)
わ(わかめ 海藻)
や(やさい)
さ(魚)
し(しいたけ きのこ)
い(いも)
を一食にバランスよく食べていくことです。また、主食の玄米は、無農薬玄米を使用し、肉・卵・乳製品・白砂糖を使用しない給食を手作りし、味噌・塩・醤油・油などの調味料も安心で安全な原材料からつくれたものを厳選しています。
まだまだ努力は必要ですが、ここまで考量できたのも先生方のお力であり、大変感謝しております。
「まごわやさしい」の食事は、野菜嫌いの子どもにとっては、かなりハードルの高い食事です。
親は子どもにとって良い食事を、と思います。
とはいえ、好き嫌いのある子どもに、バランスの良い食事を提供したいからといいって、「食べなさい!」と言われる方はもちろんのこと、「食べなさい!」と言う方もストレスです。
子どもの未来を考えて言っているのは当然ですが、1日3食、毎回お互いがストレスを感じるのは良くありません。
食事に感謝が生まれるように、自分たちで野菜を育てたり、作っているところ見たり、匂いを感じたり、調理の先生との会話をしたりしています。
簡単に書きましたが、園の先生たちのさまざまな工夫、声かけは素晴らしいです。
「好きなものだけ食べてもらい、嫌いなものは残していいよ!」と言うのは楽ですが、子どもたちの未来を考えると、大事な幼児期に食を正すことは、その子の人生にとっても重要なことです。
ここでも私たちが大切にしている「子どもの可能性に蓋をしない」気持ちがあります。
「残していいよ!」と言ってしまえば、好き嫌いのある子どもは給食を目の前にした瞬間に「どれを食べて、どれを残そうか」と考えます。
〈ウブントゥ〉ではそうではなく、さまざまな取り組みをして、今日の給食をみんなで楽しく感謝しながら食べてもらえるように、残さないように声をかけています。
食事を学ぶなかで、『給食で死ぬ!! 大塚 貢 / 西村 修 / 鈴木 昭平(共著)』という本があり、タイトルがとても過激ですが、著者の方々の子どもに対する真剣な取り組みに感動しました。
大塚貢先生の取り組みは、「給食改革」で世の中を変えていると言っても過言ではないでしょう。
人は1日3食 1週間で21食です。
給食は1週間で、21食のうちの5食だけですが、その給食を変えるだけで、子ども・家庭・地域など、さまざまな変化があることに驚きました。自分もできることをしようと思いました。
逆を言えば、ほとんどが家庭で提供されるものであり、家庭との連携が重要となってきます。
朝早くから、夜遅くまで仕事をしている家庭ではなかなか思うようにできないところではあると思います。だからこそ、一番大切なのは、〈ウブントゥ〉と家庭で同じ方向に向かっていることです。
「家では良いけど、〈ウブントゥ〉ではダメ」。反対に「〈ウブントゥ〉ではダメだけど、家では良い」ではチグハグになってしまいます。
食べることは生きることであり、大事な幼児期に関わらせていただいている者として、できる限りを尽くしたいです。