6月のくらし
6月になりました。
目まぐるしく忙しかった5月とはうってかわって、6月はとても穏やかな日々を過ごしていました。
というのも、5月の最終日、出先で滑りやすい床で、スルーンと滑って転んでしまい、左足の親指を骨折してしまったのでした。
忙しいイベントは5月で一旦終了していたし、幸い左足なので運転もでき固定も必要なかったため、生活に大きな支障はありませんでした。とはいえ、あまり親指に負担がかけられないしすばやく動けないので、できないことは無理せずに過ごすひと月となりました。そのため、穏やかに過ごしつつも、そこまでの痛みもなかったので、今だからこそできることを楽しんでいました。
そのひとつが梅仕事。
白梅干しをつくるのが毎年の楽しみなので、今年も梅を仕込みました。

いつもわたしはジップロックで作れる、赤紫蘇も入れない方法で漬けています。
このやり方で失敗したことは今までなく、手順も簡単です。

ざっとやり方をご紹介すると、まずは完熟梅をかるく洗って、水気をふいて乾かします。
乾いたら竹串でへたをとり、リカーにすべての梅をくぐらせてカビを予防します。あとはジップロックに梅とお好みの塩をいれ、数日は重石がわりに本をのせて、毎日上下をひっくり返すだけ。
ジップロックを2重にしておけば大丈夫。中も見えるし、ひっくり返したりするのも簡単。

本をのせていると、すぐに梅酢があがってきます。
ずっと本をのせたままにしていると梅がぺたんこになってしまうので、ある程度梅酢がでてきたら、本は外して、梅雨があけて土用になるまで、梅酢のなかで梅をときどき動かしながら待ちます。
土用になったら、3日3晩天日干しをして、完成です。
この残った梅酢も美味しくて、お肉料理などに使っています。

この梅干しがあると、ちょっとした不調のときにも心強くて、今まで何度も支えられてきました。
意外とこういうシンプルな梅干しは手軽に手に入らないので、自分で作ったほうが絶対にいいと思って毎年つくっています。好きな塩を選べるのもいいところ。塩を多めにすれば常温保存も大丈夫。
なにより、もともと生で食べられない青い梅が、こうして昔からの知恵で、塩だけで美味しくなるのがすごいなと、過程を経ながら感心します。この梅仕事自体が、とても地味だけど、なんともいとおしい時間です。
ちなみに、今回梅を追熟してみたところ傷が出てしまった梅がけっこうあったので、紅茶と一緒に煮る方法を試してみました。

「ダージリン梅」という名前で検索すると出てくるのですが、梅とお砂糖とお水とティーバッグの茶葉を一緒に煮ると、梅の渋みと茶葉の渋みがちょうど良い感じにまとまります。
シロップは紅茶が香る梅シロップになり、実のほうもシロップ煮として食べられます。

水が入っているから、一般の梅シロップよりは日持ちが短いかもしれませんが、10分もあれば完成するし、少量でも作れるので、すごく気に入りました。
わたしは家にあったアールグレイの茶葉を使いましたが、とっても美味しい。お湯や炭酸水で割って飲んだり、アイスに添えたり、ヨーグルトにいれたり、パンやパンケーキにかけたり。なんだか香りもよく、作るのも簡単なので、大満足でした。
これがわたしの今年の6月の梅仕事でした。
また、6月はハーブが生き生きしている時期。月半ばには、たまたま立ち寄ったハーブガーデンで、ちょうどラベンダー摘み体験が行われていたので、少し摘ませていただいてきました。

摘んできたラベンダーは本当にいい香り。
一部は束ねてさかさまにして干したり、ぽろぽろと花穂が落ちるものは、お茶パックにいれてサシェとして枕元に置いてみたり、初めから花だけ取り分けて乾燥させてみたりしました。

ラベンダーの花穂でラベンダーミルクティーもつくってみましたが、とっても美味しかったです。
来年は畑でもこれくらい収穫できるように、ラベンダーをもっと植えたいなと思いました。
そうして過ごしているうち、夏至になりました。私の骨折した足は、履く靴によってはまだ痛むものの、気を付けていればある程度歩けるようになりました。そこで夏至の気をたっぷり受けているハーブたちを収穫したくなり、庭や畑で育っているものをお手入れしながら、少しずつ収穫していきました。
庭では、プランターに植えたワイルドトマトの実が赤くなっていました。

ハーブガーデンで見つけたワイルドトマト(Solanum sp)の苗。原種に近い野生種で、とても小さいミニトマト。調べてみたら、南米のアンデス山脈やガラパゴス諸島などに自生する野生のトマトだそう。生命力が強くて、ストレス耐性も強く、放任していても育つそうです。
食べてみたら、小さいけれどとても美味しい。ひとつぶで元気がわぁっと湧いてくるような、生命力に溢れ、エネルギーに満ちた味でした。
トマトはもともとこんなに小さいものを、今の大きさへ品種改良していったのだなぁと知りました。

そのすぐ横では、コンパニオンプランツとして、マリーゴールド・タンジェリン・ジェムを植えていて、こちらもお花がたくさん。
草木染めにも使えるので、こちらもせっせと摘んでいきました。

オレンジのような甘くてさわやかな香りがします。
トマトの生育にとっても相性がよいのではないかなと思っています。
ほかには、ローズマリーの花が少しだけ咲いているのを見つけたり。

飾るためにデルフィニウムの花を摘んでみたり。

久しぶりに見に行った畑でも、以前植えたダイヤーズカモミールがちゃんと育って花を咲かせていました。
このままだと散っていくので、少し摘んで飾ることにしました。

こうして穏やかに眺めてみると、気づけば色々な植物が育ってくれていました。
2026年も気づけば半分が過ぎようとしていて、きっと、忙しい日々のなかで気づけていない、受け取れていない恵みもあったかもしれません。
こうして、ゆっくり見回してみることも改めて大切だなと思いました。
ある意味、骨折のおかげかもしれません。

せっかく夏至なので、収穫したハーブたちをより楽しみたい。
ならばハーブの足湯をやってみようと思って、ラベンダーの花穂と、マリーゴールドと、ローズゼラニウムをお湯に浮かべて、畑帰りの足を休ませてみました。
お湯をいれたらいい香りが立ち上りました。
やってみて思いましたが、ラベンダーの花穂が足に集まってきてだんだんくすぐったくなってしまいました。茎についているままにするか、なにかでまとめたらよかったかもしれません。とはいえリフレッシュできて良かったです。

夏至の日に、ハーブが最も魔除けのエネルギーに満ちているとして、世界中で夏至の日のハーブを使ったお祭りやお祈りがあると聞きます。
実際、たまたま私も夏至の数日前からラベンダーの収穫をして室内に飾ってみたり、当日もハーブを収穫して使ったり、食べたり飲んだりして過ごしていました。気づけば、自分の内にも外にもハーブがあふれ、図らずもたっぷり魔除けをしたような一日になったな、と思いました。
そういえば、日本でも6月末には夏越の大祓で茅の輪くぐりをする風習があります。夏至の頃は季節の変わり目で体調を崩しやすいときでもあるし、少し調べてみると、この世とあの世との境目が薄くなる時期だと考えられていたからこそ、魔除けのために薬草の力を使っていたという内容が出てきました。
どんな夏至を過ごすかは人や地域によって様々ですが、太古から、世界各地で夏至の太陽を見つめて何かを感じ取っていた昔の人たちと同じように、こうして夏至に思いを馳せて過ごしていることを思うと、なんだか面白いことだなと思ったりします。
夏至が過ぎ、ここから昼がだんだんと短くなっていくと思うと、このまだ明るい季節のうちにやりたいことをやっていきたいなと思いました。
そして夏至が過ぎれば気になるのは、7月7日の七夕。七夕といえば、機織り。
私は今年こそ手織りを再開すると言い続けてきたので、七夕までには手織りをしたいと思って、ようやく始めました。
かなり久しぶりなので、まずは卓上の織り機に経糸をはっていきました。
何年も前に買ったままになっていたリネンの糸で、暮らしの布にしたいなと思ってつくっています。

リネンが縮むことも考えつつ、空気が通るような布になったらいいなと、糸の間隔を空けたもの、ちょっとつめたものなど何パターンが織って試しています。この糸を織るとどんな風に見えるのか、まずは確かめているところです。
籠にふわりとかけたくなるような布になったらいいなと思っていますが、さてどうなるでしょうか。
なんとなく感覚を掴めたら、高機の織機でも織り始めたいなと思っています。久しぶりすぎて道具の使い方を間違えたりもしていますが、ひとまず動き始めることができて良かったです。
6月の草木染め
6月も、いのちの草木染め基礎講座を開催しました。

会場の明見湖では、蓮の葉っぱが随分と育ってきました。
4月にはまだ立ち枯れしていたのに、自然界ではちゃんと、その時々にふさわしいタイミングでいのちが育まれています。
4回連続の基礎講座も、今回は3回目。「実」を染めていただく回として、くちなしの実を使い、地紋のあるシルクコットンの小風呂敷を染めていただきました。
漢方でも生薬として使われているくちなしの実は、染めるととっても晴れやかで、お祝いにもふさわしいような喜ばしい色に染まってくれます。
草木染めというとアースカラーのものが連想されがちですが、くちなしの色は澄み切った、純度の高い晴れやかな色。その染まる嬉しさを皆さんにも体験していただきたくて、くちなしの実を選んでいます。
染めていくのは、地紋のある布。富士吉田でもジャカード織を手がけているところがあるので、このような布の魅力のバリエーションも体験していただけるといいなと思っています。

漢方では、熱をとるような働きをするくちなしの実。少し暑くなってくる時期にはちょうど良いかもしれません。精神的にも、肉体的にも、熱を冷ますものだとされているようです。
そんなくちなしの実から染液をつくり、皆さんそれぞれに、くちなしの色を染めていただきました。

同じ液を使っていても、人によって色味や雰囲気も違っているのが面白く、どれもとても素敵でした。
染め上がったくちなし色のシルクコットンが風に揺れる様子は、とてもきれいでした。

参加してくださった皆さん、ありがとうございました。
こうして、わたしの6月は、一旦骨折というかたちでのストップがあったものの、立ち止まってみたらたくさんの恵みがあることに気づくことができた、そんなひと月でした。
今年が半分終わり、できたことも、できなかったこともあるかもしれない。でも、よく落ち着いて見渡してみれば、実っているもの、かたちになっているもの、 目に見えないけれど深まったもの、感じたこと、増えた経験値がたくさんあるのだと思います。
時々こうして、立ち止まって味わう時間も大切にしようと思えた、そんな恵みの6月でした。





