皆さんこんにちは!you FUJIYOSHIDA編集室です!
本日も2022年11月より富士吉田市で行われた「地元ライター講座」の際に参加者の皆さんが執筆した取材記事を掲載いたします。
毎日1記事ずつ掲載していきますので最後までどうぞお楽しみください。
※本記事は、You FUJIYOSHIDAを運営するふじよしだ定住促進センターが主催する「地元ライター講座」に参加した富士吉田市民のみなさんが執筆した記事になります。
はじめまして。富士吉田歴8カ月、野球とお酒を愛する小野寺穂高です。この地にご縁があったので、今年は家族が富士吉田にふるさと納税をしました。
大絶賛してるな~と思っていると、なんと富士吉田は全国一桁人気のふるさと納税タウン。その秘密を知るべく、インタビューさせていただきました。
皆さんは「ふるさと納税」をご存知でしょうか?昨年度の寄附総額は過去最多の8000億円超え。いまや、耳にしたことのある方も多いかも知れません。
「ふるさと納税」とは、人口減少による税収の減少や大都市と地方の格差是正を目的として、2008年からスタートした制度。利用者は自分の生まれ育ったふるさとや応援している自治体へ寄附し、そのお礼として各地域にちなんだ返礼品を受け取ることができます。さらに、寄附額のうち2,000円を超える部分は、基準範囲内で控除を受けることができる仕組み。自治体にとっては税収増加だけでなく自分たちのPRもできるので、近年では競争が激化しています。
実は今、この富士吉田市が「ふるさと納税」のモデルケースとして全国から注目されています。というのも、富士吉田市の21年度納税額は72億1300万円を超え全国第9位。関東甲信越地方ではトップの実績です。そこで今回は、富士吉田市ふるさと納税推進室の渡邊滋人さん、小林宏美さんにお話を伺い、富士吉田市の「ふるさと納税」成功の秘訣を探っていきます。
可愛らしいプロダクトでアートの町を体現
富士吉田市のふるさと納税では、どのような返礼品が用意されているのでしょうか?一般的に“返礼品”と聞いて連想されるのは、食べ物や特産品。富士吉田市で言えば羽毛ふとん、飲料水、クラフトビールの「ふじやまビール」や伝統工芸品の織物かも知れません。
しかし渡邊さんにラインナップを紹介していただき、実際に返礼品として用意されているものを見ると、あることに気が付きます。そう「どれもデザインが“かわいい”」ということです。水筒やポストカードなど、富士山を基調に描かれたデザインには、目がうばわれます。
というのも、富士吉田市は「フジテキスタイルウィーク」や「ハタオリマチフェスティバル」を始めとした、織物とアートに彩られたまちです。そのためデザイナーも数多く在住しており、タッグを組む事によってこのようなデザインが生まれているとのこと。お二人がインタビューを通じて口を揃えていたのは「オール富士吉田」というワード。地元の力を結集して取り組んでいることが、人気の秘密かもしれません。
ふるさと納税で「知る」「来る」「体験する」
自主的に扱える財源が増えるため、『ふるさと納税』に取り組む自治体間競争が過熱。
一方で、皆さんもお気づきかもしれませんが、富士吉田市は“競争”からは一線を画しています。
渡邊さんに富士吉田市の工夫を聞くと、「リピーターを生み、ファンにつなげること」が重要だと話します。実際に、近年では継続して寄附した寄附者の方をツアーに招待し、富士吉田市を案内しているそうです。返礼品をきっかけに富士吉田を「知り」、実際に「来て」「体験」してもらうことで、“ファン”になってもらう。その「“おもてなし”の心で自分たちの想いを届けること」を大切にしていると、渡邊さんは力強く語りました。
見つめる先は“地方創生”。富士吉田の未来を聞く
しかし明るい話題ばかりではありません。ここまで富士吉田市がふるさと納税に力を入れるのには、ある“ワケ”があります。渡邊さんが危機感を抱くのは「認知度」の低さ。ある統計によると、「富士吉田市の知名度はわずか数%にとどまる」と言います。
いまや国内外からの観光客で賑わう富士吉田市ですが、多くの方が目標にしているのは富士山やレジャー施設。自治体に目を向けると、まだまだ認知は広めていく必要があるのが現状です。
富士吉田市のふるさと納税で生み出す「体験型返礼品」。これには、地方創生の話題で度々取り上げられる“関係人口の創出”も目的の一つとしてあります。そのためにも、返礼品には“街歩きマップ”も同封されており、富士吉田市に来てもらうための仕掛けを取り入れています。市長から直々にメッセージカードも送られてくるため、受け取った人にもその誠意が伝わっていることでしょう。
オール富士吉田で目指す、“ふるさと納税”と“まちづくり”
その誠意は、寄附者だけに向いているものではありません。印象的だったのは「市内への発信」です。ふるさと納税推進室では、寄附金がどこに使われているかを示す広報を作成。市民に配布し、使いみちを知ってもらう工夫を欠かしません。
実際に中を見てみると、小学校の設備や公共設備の補修、看板の設置など市民の暮らしと密接な関係のあるものなどなど。老若男女すべての人に還元されていることがわかります。同冊子では使用している人の笑顔が見える工夫も施されるなど、至るところで丁寧さを感じます。
寄附者も市民も一丸となり「オール富士吉田」で明るい未来を目指す“ふるさと納税推進室”。今後は寄附者にアプリを提供し、さらなる体験価値をもたらすことを検討しているとのこと。ますます目が離せません。
取材・文 小野寺穂高