7月のくらし
7月、七夕が近づいてくると、なんだか機織りにまつわることをしたくなります。
昨年の7月3・4日には、愛知県の伊良湖岬から伊勢神宮へ毎年、絹糸が奉納されるご神事があり、それに同行するお糸船ツアーというものに参加していました。
とても印象深い体験だったので、本来なら、今年の7月もどこかへ行ったり、なにかしたいと思っていました。
でも、今年はその前に足の指を骨折してしまったため、家でできることをしようと思い、6月から七夕に向けて機を織りはじめることにしました。
もともと今年の抱負に、今年こそ機織りをすると決めていたものの、なかなか取りかかれていなかったので、重い腰をあげるのにちょうどいい機会。
いつ買ったかわからないリネンの糸を引っ張り出して織り進め、無事、七夕の直前に完成しました。

かつて仕事で織っていたドレス生地とは真逆のような、ざっくりとした布ですが、
糸が布になるというのは、たとえふぞろいでも、いとおしいものだなと思いました。
リネンのクロスは普段から好きなので、まずは暮らしのなかで使ってみようと思います。
七夕には、織姫と彦星の物語がありますが、そのお話は中国から渡ってきたものだそうです。
それとは別に、日本にはもともと、棚機津女の伝承があるとされています。夏、水のほとりで、女性が神様に奉納するために機織りをするという神事があったそうです。
そして、七夕との関連があるのかないのかはわかりませんが、伊勢神宮でも毎年7月に、神様の衣服となるための糸が献上され、その絹糸と麻糸は、それぞれ決まった織り手のもとで織られ、神様の衣服として奉納されています。
昨年の夏に同行したツアーは、その絹糸を奉納するご神事に合わせたものでした。
機織りというのはとても古くからの文化で、世界中の神話や伝承にはしばしば女性が機織りをしている描写が見られます。
最近、たまたま聞いていた曲のアルバムのタイトルが「オデュッセイア」で、調べてみると、古代ギリシャの詩人、ホメロス作と伝わる長編叙事詩のことでした。そしてさらに内容を調べていくと、主人公の妻も機織りをしていることを知りました。
しかも今年の秋には、『オデュッセイア』という映画が公開予定だと知りました。
その映画では、アン・ハサウェイさんがその妻を演じるそうで、予告編を見てみたら、背景に織り機が映っていました。
個人的には戦いのシーンには興味がないのですが、機織りがどれくらい描かれるのかは気になるところです。
ほかにも、ギリシャや日本、北欧、マヤなど、さまざまな神話の中に機織りは重要な意味を持って登場するようです。
神話や伝承にたびたび登場し、日本では今も神事として受け継がれている機織り。
わたしにとっても、不思議なかたちで足を踏み入れた世界。
いまだ先は見えないけれど、気になるキーワードです。日本の神道では、神様の衣・食・住が奉納されています。でも、よく考えてみれば、それはわたしたちの暮らしにも欠かせないもの。
神様への営みと日々の暮らしは、案外ひとつながりなのかもしれないと思いました。
今、自分の暮らしの「衣」を自分でつくる人は多くないかもしれないけれど、きっとそこには大切なものがあるような気がする。
そんな好奇心もあり、まずは手織りをしてみないことには始まらない。まだ始まったばかりですが、これを機に、少しずつ機織りを身近なものにしていけたらと思います。

そんなふうに迎えた7月、明見湖ではあじさいが咲いていました。
昨年はほとんど咲いていなかった分、今年は咲き乱れて、目を楽しませてくれました。

あじさいを見ていると、ひとつひとつのはなびらのなかに少しずつ変化していく色があるようで、とても綺麗です。
小さいうちは色が薄いのに、だんだん濃くなっているみたい。
早送りにしたら、少しずつ色が染まっていくように見えるのでしょうか。

7月の中旬になると、いよいよ蓮の花がひとつ、またひとつと咲いていきました。

まるで、天国のような雰囲気で、この景色が見られるだけでなんだか幸せな気持ちになります。
わたしの大好きな景色のひとつです。

ここから一カ月くらいは、もっとたくさん蓮の花が咲いていくと思うので、見るために何度も通おうと思っています。
また7月は、4月から4回連続で開催している、いのちの草木染め基礎講座の最終回でした。

毎回、植物の違う部位を使って色を染めていくように構成しているのですが、4回目のテーマは根っこ。
西洋茜の根を使って、色を染めていきました。

人類の歴史上でも古くから人々に親しまれてきた茜の色は、葉っぱとも枝とも違う、根ならではのたくましさを感じる、力強い色です。
真っ白な布が、手のなかでだんだんと染まっていく、色が変化していく様子を味わえるのは、染めている人の特権かなと思ったりもします。
結果だけではなくて、その過程にこそ、色から感じるものがある。
そして自分の手で染め終えたあとには、微細な色の違いまで感じ取れるようになっているような気がします。

こうして、布はじっくりと茜色に染まっていきました。
染まり上がる作品は、人によって雰囲気や色あいも少しずつ異なり、それぞれに個性があります。
白い部分を残してみる方や、グラデーションに挑戦する方、潔く一色で染めてくださる方、みなさんそれぞれに茜の色を染めてくださいました。

茜の色は、なんだか、元気も出るし、安心するような力強くもあたたかい色。
これからは、この色と暮らす楽しみも味わっていただけたら嬉しいです。


ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。
そして、こちらも4月はじまりだった、前期のいのちの草木染め応用講座も、最終回を迎えました。
草木のいろ・かたちを楽しむ応用講座ですが、今回は草花のたたき染めをしていきました。

海外でも「tatakizome」として日本語名で知られる、原始的なたたき染め。
一番メインで染めていく植物は、藍の生の葉っぱです。
春先に種をまき植え付けた藍が、だんだんと育ってきました。
使うのはフレッシュな葉が向いているので、講座の直前に摘んでいきました。

ほかにも、畑や庭で育てているハーブの花や葉っぱもあわせて摘んでいきました。
染まることがわかっているハーブもあれば、実際に染めてみるまで染まりやすいかわからないものもあります。
この中からみなさんが惹かれた植物を選んでいただくので、人によって全然違った作品となるのも、また良いものです。


シンプルだけれど、どの植物をどう配置するか、どれくらい叩いて色やかたちを染めるかなど、たくさんの自由があります。
正解はなく、どんなふうにつくっても大丈夫です。
そして、それぞれに素敵な作品が仕上がりました。

参加してくださった皆さん、ありがとうございました。
基礎、応用ともに、こうして素敵な方たちと、植物との創作をともに楽しむ時間を過ごすことができて、毎月がとても幸せでした。
講座は4回連続のものだったので、前期のクールはこれで一旦終了です。
なにより、こうしてみなさんが集ってくださったことが本当にありがたいことだなと、胸がいっぱいになります。
終わりにはちょこっとのさみしさも伴うけれど、物事は、終わることができれば、また始まることができる。
終わりがあることも、はじまりがあることと同じくらい大事なことだなと思っています。
そんな感慨深い、わたしの7月となりました。
【おしらせ】
今年の9月からスタートする『第6期いのちの草木染め 基礎講座』のご参加お申込みを現在受付中です。
富士山の麓のうつくしい明見湖のほとりで、植物と親しみながら、生き生きとしたいのちの色を染めていく、4回連続の講座です。
9月はじまりの後期は、夏の終わりの美しい明見湖がだんだん秋冬へと向かっていく、味わい深い季節でもあります。
植物のいのちに触れ、植物の力を受け取って、日常へ帰っていただけるような
感性をひらき、いのちを愛でる時間にできればと思っています。
ご興味ある方はぜひどうぞ。
【開催日程】9月・10月・11月・12月の各月に一回(相談して決定します)
【時間】9時30分〜11時30分 あるいは 13時〜15時
【場所】明見湖はすいけ体験工房
〒403-0002 山梨県富士吉田市小明見5丁目4−3354番地 明見湖公園内(駐車場もあります)
【染めるもの】毎回テーマにあわせて、違う植物、違う素材の布(回によってシルク、コットン、リネンなど)を染めていきます。
【参加費】参加費・材料費・布代込 5,500円
🌿開催日は平日でも土日でも、ご希望をお伺いして設定していきます。
また、中学生以下のお子様との親子でのご参加希望の場合には、親子価格もご用意していますので、お気軽にご相談ください。
(これまでに小学生、中学生のお子様がご参加くださっています)
🌿遠方の方は、富士山駅・河口湖駅まで送迎可能です。
ご参加・ご興味のある方は、公式ラインから、お申し込み・お問い合わせください。
ご質問などもお気軽にどうぞ。
https://lin.ee/pnZt3qp






