8月のくらし
8月。
いよいよ夏のピークを迎え、富士山も夏らしい姿を見せていました。

雪のないこの時期は、山の地肌の色やその陰影がよく見えます。
夜は、山小屋や登山中の人のライトが灯り星座のように見えるのも、富士吉田の夏ならではの景色です。
山じまいするまでの短い眺めは、富士北麓の夏の短さを間接的に教えてくれるようです。

この8月、なかなか暑い日もあったけれど、ふとしたときに吹く風に、秋の気配を感じるようになってきました。
そうすると、富士吉田の夏は短いということを思い出して、ふと過去の秋冬の記憶がよみがえってきます。
暑くて大変だと思っていたのに、終わると思うとなんだか寂しくなる、夏の終わりの時期になってきました。

近所ではコスモスも咲いて、あちこちトンボがとんで、見渡せばすでに秋らしさが漂っています。
そんな8月は、参加している日本茜を育てるプロジェクトの活動として草刈りをしました。

夏の草たちの勢いは本当にすごいです。
機械が入れるところは農家さんが刈ってくださり、わたしたちは、茜のすぐまわりに生えている草を手でとっていきました。
暑いのが苦手といわれる日本茜ですが、順調に育ってくれているようでした。
秋の虫の音が聞こえるなかでも、日差しも強くなんだかんだと結構暑くて、よい汗をかきました。
なにより、成長中の日本茜が見られてよかったです。
農作業できる格好でいたこともあって、その勢いで、その後は自分の畑へも行きました。
毎年育てている藍も、無事に大きくなってきてくれています。
梅雨の雨が足りなかったのか、一時ちょっと弱っていたけれど、ここのところ夕立も多いせいか、元気になってきてくれました。
来月からはじまる応用講座の初回では、藍や草花のたたき染めをするので、準備ができてよかったです。

ほかにも、草の上のほうを鎌で刈っていたら、下からかわいいカキドオシがでてきました。
地面に近いところにちょっと生えていて、それが広い範囲に広がっていました。
上に乗っていた草をどかしたのですが、カキドオシがこれで育つのか、それとも草が日よけになっていたほうが都合がよかったのかわかりませんが、増えてくれたら嬉しいです。

そして、いつも草木染めの講座やワークショップでお世話になっている明見湖。

明見湖の蓮たちは、8月はいよいよ見頃のピークという感じで、次から次へと花を咲かせていました。

蓮の花はどの段階でも綺麗で、つい何度も眺めてしまいます。
最初はつぼみ。仏教画や仏像のそばに描かれたり飾られているのも、こういったつぼみでしょうか。
そしてすこしずつ、つぼみはひらいていきます。

かたいつぼみだったのが、繊細な花びらのように見えてくるのも綺麗です。

そして開いていくにつれ、花びらの先が薄いピンクに染まっていきます。

こうして花が満開になっていきました。
午前中は、たくさんの花がひらいているところが見られました。大好きな景色です。
そして今年は、お盆用にお花を一日だけ販売されるタイミングで相談をして、葉っぱと茎を分けていただきました。

大きくて、なんだかおおらかでかわいい蓮の葉っぱ。

ちょっと丸まっている葉っぱを茎ごといただいて、使う日まで冷凍しておくことにしました。
茎はとても長く、このままだと冷凍庫にも鍋にも入らないので、カットしていきました。

ちなみにはじめて知ったけれど、茎はとげとげしていて、チクチク痛くて素手ではぎゅっとはつかめませんでした。
触ってみないと知らないこと、わからないこともあるものです。
断面は、レンコンとよく似ていて穴がたくさん。
茎とレンコンも構造は似ているんだな、と思ってちょっと調べてみたら、レンコンは、根っこではなくて地下茎という茎に栄養がたまっている形状なのだそう。
この穴が空気の通り道になっているそうです。
ハサミでカットしてみると、最後まで綺麗に切れずに、断面からびゅーんと繊維が伸びてきます。
ミャンマーなどでは、古くからこの繊維を糸にして織物を織るのだそうです。

茎葉は一旦冷凍させておいて、先日、これまで通ってくださっている方からのご依頼で開催した草木染めワークショップの際に、一緒に染めていきました。

この日は、生徒さんがお持ちくださったヤシャブシの実も染めていきました。

蓮の葉っぱからあらわれた染液は黄色~茶色みのある色。
そして染めあがったのは、やさしいクリーム色から黄色みのある色でした。
乾燥葉では、かなり前に入手したものを使って試したことがありましたが、たしかそのときも黄色みがあったと思います。
生の蓮の葉で染めてみたいという願いが叶ってよかったです。

こうして、シルクシフォンのストールと、お持ちくださったリネンのシャツが、それぞれに染まりました。
あかるくてやさしい色になりました。

ちなみにこちらはヤシャブシのほう。
こちらも、可愛らしいこっくりした茶色になりました。
こうして夏の日に、蓮の茎葉や木の実で染められて、とても嬉しい時間でした。
ここからだんだんと夏から秋へと移り変わっていく季節。
すこし寂しくもありますが、その時々にしかできないこと、そのときだからこそ出会えるものを大切にしていきたいなと思えた、そんな8月となりました。






