上田 潤

2021.04.08

上田潤の地域福祉とふじよしだ08「福祉を自分ごとへ」

富士吉田市のさくら

さくら咲く今日この頃。

節目の時期でもある今回は、あらためて「地域福祉とはなにか」というところから考え始めたいと思います。連載当初の記事で、地域福祉についての僕の解釈を記録していました。

「地域福祉」
地域の人々が立場や役割を越えて、みんなで安心して暮らしていけるように、協力して困りごとを解決していこうとする考え方

僕は富士吉田市地域おこし協力隊として、”地域福祉の推進”をテーマに日々活動をしていますが、最近の活動でさらに気づいたことがあります。

それは、”地域福祉の主体は住民である”ということです。

僕の地元でもある、山梨県は南アルプス市。
なんとここが、先進的な地域福祉推進に取り組んでいるとの情報を入手。これは学びに行くしかないと、さっそく伺ってきました。

南アルプス市では5年前から、「地域ささえあい協議体(以下、協議体)」という取り組み(団体)が始まっています。協議体は、これから多様化・高齢化していく社会を鑑み、公的な福祉サービスを受けるだけでなく、自らが当事者となって、住民主体、地域全体で福祉に参加していこうとするものです。


「地域ささえあい協議体」 
in 山梨県南アルプス市
住民主体で地域福祉に参加する取り組み・団体


協議体では、『地域課題・地域の理想像』をテーマに、住民主体の会議が日常的に行われています。そこから行政やNPOなどとも連携し、新たな事業や取り組みとして仕組み化していく、といった流れで活動されているそうな。内容としては居場所づくり、日常生活支援、見守り活動など、多岐にわたります。

住民主催「地域ささえあい協議会」で語られたテーマ
『地域課題・地域の理想像』
行政やNPOとも連携し、事業や仕組みを生みだすことも
ex)居場所づくり、日常生活支援、見守り活動 など

驚くべきは、市内で既に100以上ものコミュニティ運営が行われていて、今も現在進行系で増えていっているということです。
さらに深く学びたいと考えた僕は、実際に協議体の会議や勉強会に参加させていただきました。

協議会主催の勉強会のようす。静岡で20年以上居場所づくりをされている、NPO団体「たすけあい遠州」代表の稲葉ゆり子さんの講演

ある日、南アルプス市で行われた勉強会。会場へついた僕は、参加者で満員のホールにとても驚きました。任意参加の勉強会にこれほど人が集まっていること(その数およそ100人以上)、しかも時間帯は19時〜21時というゴールデンタイムです。みなさんが講演に聴き入り、熱心にメモを取ったり質問をしていたり。とても印象的な光景で、協議体活動への意識の高さを感じました。

住民主体の定例会議の様子

この日は9つの自治会区代表者が集まっての地域会議。地域の特徴から、直近の課題を把握し、今年度における地域の活動ビジョンを決定するというテーマについての話し合いです。参加者全員が主体的に発言し、意見に対して否定をせず、互いにフラットな立場での活発な議論は、民間企業や行政のそれと遜色ありませんでした。

こういった住民主体の活動が南アルプス市内全域で行われており、文化として根づいてきていることを実感し、地元をとても頼もしく思いました。

一方で”地域福祉の推進”において、富士吉田市よりかなり先を歩いているような実感があり、少し悔しさにも似た感情を覚えたというのが正直なところです。

でも、そうか。

近くにこんな好例があるということは、吸収して、富士吉田市に合った形で模索していくことができる。

地域福祉の主体はまちのみんな。

富士吉田市の多くの人々が、福祉を自分ごとにしていけるようなきっかけづくり。

これだ、今年度はこれをやろう。

富士吉田市の地域福祉推進モデルをつくっていこう。

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上田 潤

富士吉田市地域おこし協力隊

出身地
山梨県南アルプス市

プロフィール
大学進学を機に上京し、数社のジョブホップを経て2020年10月に地域おこし協力隊着任。 地域福祉をテーマに、高齢者の生活支援〈じばサポ〉、高齢者との日常を綴るインスタマガジン〈しわじわ〉、自宅を地域へ開放した〈ソーシャルハウス宝島〉の3事業を運営。
共生社会の実現”を目指し、人のつながりで社会課題の解決に向き合う。

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