僕は独身で子どももいませんが、〈宝島〉でいろんな家族と過ごすなかで、
子育てや子どもの教育について、すごく関心を持つようになりました。
そこで、そんな領域に作用できるような活動を始めようと、地域のママさんたちと〈よしだファミリーラボ〉というチームをつくりました(富士吉田市のことを地元の人は”よしだ”と呼びます)。仲間になってくれた心強いメンバーと共に、子育て支援や不登校の子どもに焦点を当てた取り組みについて、日々準備を進めています。
具体的な取り組みのひとつとして、4月からフリースクールを始める予定です。
今回はそのことについて、触れていこうと思います。
〈宝島〉では月に一度「不登校の親の会」という集いの場が開かれていて、不登校の子どもの親御さん同士が悩みを共有したり、子どもたちが一緒に過ごせる場になっています。
フリースクールを始めようと思ったのは、1月に行われたこの会の主催者の方の言葉がきっかけでした。
「私は30年前からこの活動をしています。時は流れて社会にいろんな変化があるなかで、不登校を取り巻く状況は悪化するばかり。今この瞬間もこれからも、こういった場がますます必要だと感じざるを得ない世の中に、哀しさを覚えます」
実際に文部科学省が発表した統計によると、2021年度の全国の小中学校における不登校の児童生徒数は過去最高で、24万4940人にも上るといいます。前年2020年度から125%(約5万人)の急増が見られ、コロナ禍で活動制限が続いて、交友関係や教員とのつながりが希薄になったことが影響していると言われています。
児童生徒だけでこれだけの数です。不登校に係る諸問題は、当然そこにご家族や学校側も含まれてきます。実際に僕のところへ「不登校の生徒にどういった関わり方すればいいかわからず悩んでいる」という先生が相談に来てくれた事もありました。
そう考えると、とてつもなく多くの人たちが不登校を取り巻く状況に悩んだり、苦しんだりしているのかもしれません。
この状況の解決に向かうひとつの方法が、フリースクールを始めることだと考えました。感情論ではなく、不登校の子どもたちの受け皿が必要なことは統計から見ても明らかです。
〈宝島〉のある富士吉田市とその周辺地域には、そもそもフリースクールがありません。
最寄りのフリースクールまでは車で1時間くらい。通うとなると大変なので、やっぱり各地域に必要なんじゃないかと思っています。
〈フリースクール宝島〉のコンセプトは、”自由研究”です。
基本的にこちらがなにかを教えるという形ではなく、その子の興味のあること、やってみたいことを一緒に楽しみながら学んでいくという伴走スタイルを取りたいと思っています。
将棋をしたり、料理をしたり、畑を耕して野菜を育ててもいいし、生き物や植物を育てて観察するというのもいいですね。読書、ボードゲーム、映画鑑賞、音楽を聴くなど、興味のあることを自由に探求してほしいです。
4月から始まる〈フリースクール宝島〉が、このまちで暮らす子どもたちの健やかな日常の一助になれれば幸いです。ここで過ごした時間や夢中になったことが、その子の人生にとって素敵な経験になれたら本当に嬉しいことです。
〈よしだファミリーラボ〉にはスクールソーシャルワーカーや、実際に不登校のこどもを持つ親御さんなどが参加してくれています。至らない僕を支えてくれる心強いメンバーのみなさんに出会えてよかったです。これから一緒に、子どもたちの笑顔をたくさんつくっていきましょうね。