FUJIYOSHIDA DIARY MAGAZINE

コミュニティ

上田 潤

2022.08.17

上田潤の地域福祉とふじよしだ 25「もっと、一緒に」

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」

「ただいま〜」

「おかえりー!」

僕はひとり暮らしですが、最近はこんなやりとりをよくするようになりました。

今年の4月から〈ソーシャルハウス宝島〉として自宅を開放して、僕の生活の中には、登場人物がどんどん増えています。

それと比例するように、自分の暮らしのなかで、”幸せ”だと感じる瞬間が多くなりました。

一緒にお昼の支度をしたり、七夕の飾り付けをしたり、宝島の運営について話し合ったり。

だれかと一緒にいることは、暮らしを豊かにするということを実感する日々です。

「あんたは忙しいだろうから、あたしらが宝島の留守番をしてあげるよ」

ある日、ばあちゃんたちから、ありがたいお声がけをいただきました。

それがきっかけで僕は人生で初めて、女性に家の合鍵を渡すという経験をしました。

それからは僕がいなくても、ばあちゃんたちには自由に出入りしてもらっています。

先日、打ち合わせから帰ってくると、みんながお客さんの受け入れ対応をしてくれていました。

時刻はちょうどお昼どき、名刺の交換をしていたら、「ご飯を食べていきなさい」とおかあちゃんたち。

煮カツ定食が目の前に運ばれてきました。

僕が夕食に使う予定だった食材をフル活用して作ってくれたものです。

そのまま、まるで家族みたいに、一緒にお昼を食べました。

またある日、『じばサポ』で関わっているおばあちゃんを連れてきました。

この方は足が痛くて、1人では歩くのが困難です。

訪問するといつも、「足が痛くてつらい、早く死んでしまいたい」と涙を浮かべます。

足が悪いので台所に立つことも大変で、食事はどうしても出来合いのものが多くなってしまいます。

この日のおかずはハンバーグ、みんなで作って食べました。

「おいしい、おいしい」と笑顔がこぼれて、それを見た僕も、なんだか幸せな気持ちになりました。

帰りに家まで送っていったとき、ばあちゃんが言いました。

「今日は本当にありがとう。とても楽しくて、足が痛いことなんか忘れちまってたよ」

世の中には、医療や福祉の力だけではままならないことがたくさんある。

でも僕はやっぱり、つながりの力でそれが解決できるのではないかと思います。

人が一緒に生きることの力強さを信じて、

宝島で、今日も、みんなと。

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上田 潤

富士吉田市地域おこし協力隊

山梨県南アルプス市出身。大学進学を機に上京し、数社のジョブホップを経て2020年10月に地域おこし協力隊着任。地域福祉をテーマに、高齢者の生活支援〈じばサポ〉、高齢者との日常を綴るインスタマガジン〈しわじわ〉、自宅を地域へ開放した〈ソーシャルハウス宝島〉の3事業を運営。”共生社会の実現”を目指し、人のつながりで社会課題の解決に向き合う。

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