FUJIYOSHIDA DIARY MAGAZINE

土地・環境

藤崎 仁美

2022.06.22

草木とともにあるくらし 03

6 月の富士吉田

6月になって、果物屋さんの前を通るたびに、目をやり、そわそわしていました。

なぜかというと、梅干しにするのに最適な梅が、店先に並びはじめるからです。

紫蘇もいれない白梅干しを、はじめて作ってみたのは2年前でした。

そのときは初めてだったのでドキドキしながらでしたが、ごく少量で作ってみたところ、なんとかおいしい梅干しになり、「梅干しづくりって、難しくないんだ」と思ったのを覚えています。

そして昨年は、ジップロックを使った簡単なレシピを見つけたおかげで、昨年よりも楽しんでつくることができ、すっかり梅干しづくりが好きになりました。

添加物の入っていないシンプルな白梅干しは、そもそもスーパーに売っていなかったり、売っていたとしても、数粒だけでものすごく高価だったりしますが、自分でつくれば、必要なのは塩と梅だけでそんなに高くないし、塩の種類も、量も自分で選べる。

梅の出回る今の時期に、梅仕事に多少の時間と気持ちをかけてあげることができたら、それからの1年はずっとおいしい梅を食べられます。

梅は、私の持っている漢方ごはんの本によると、酸味によって唾液の分泌を促して、食欲を増進してくれたり、潤い不足による喉の渇きを癒してくれたり、胃腸の働きを整えてくれるそうです。

また、「食べる日焼け止め」といわれるほど、ビタミンやミネラルが豊富だそうです。

夏バテや日焼けの夏にぴったりです。

そんな待ち遠しかった梅干しの仕込みシーズンがいよいよ到来です。

ということで、はりきって果物屋さんに出かけました。

いつもはスーパーで買い物をするけれど、梅のためには果物屋さんに行きます。

お店のおじさんに「何がほしいの?」と聞かれ、「梅干しをつくりたいんです」と話すと、おすすめの梅の種類を教えてくれたり、梅の処理の仕方を教えてくれたり。

こういったやり取りができるのが、なんだかうれしいし、安心します。

お家に帰り、まだ青い梅を、段ボールにあけて、数日かけて熟してくるのを待ちます。

だんだん黄色になって、いい香りが立ちのぼってきます。

ジップロックで梅干しを仕込んだ後は、一日に何度か、梅をひっくり返して様子を見ます。

梅雨があけたら、天日に干して完成なので、今はしばらく梅雨が明けるのを待ちます。

やってみると全然難しくないけれど、梅自体が今の時期しか手に入らないので、1年のうちこの季節にしかできない、大切で貴重な手仕事です。

6月のハーブ

6月といえば夏至。

夏至は、太陽が一番長い日。陽の気が満ちて、ハーブの効能が高まっているときといわれます。

そんな夏至に向かって、ハーブはもりもりと育っていました。

今月はそのなかでも一番元気な、レモンバームの葉っぱを摘んで、色を染めてみました。

レモンバームは、古代ギリシャの時代から、長寿のハーブとして大切にされてきたメディカルハーブ。

神経にはたらきかけて、気持ちを落ち着けたり、ストレスによる不調を緩和してくれたり。脳機能を健やかに維持する効果があったり、

抗菌・抗ウイルス作用や鎮静効果があったり、消化を良くしてくれたりと、たくさんの恵みを人間にも分けてくれます。

そんな効能をいただこうと思って、ハーブティーとしてよく飲んでいます。

そんなレモンバームの葉っぱを摘んで、煮だして、染めていきました。

こするとレモンの香りがする、レモンバームの葉は、緑色だけど、じっくり染めたら、深い落ち着きのあるブラウンの色があらわれました。

古代からの叡智を感じさせてくれるような、レモンバームの色。

短い夏の間は、ハーブと楽しく過ごせる貴重な季節。

大切に過ごしたいと思います。

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藤崎 仁美

1989年名古屋市生まれ。大学ではフランス語を専攻。大学在学中、〈フジファブリック〉のイベントのために、はじめて富士吉田へ訪れる。卒業後は愛知県のエンジニアリング会社で総務を経て、社内異動によりNX(3DCAD)の講師を務める。
そのころ、仕事のかたわらで週末京都の学校に半年間通い、草木染めや手織りを体験。染織や自然と親しむ暮らしがしたいと思うようになる。そして、2015年、〈宮下織物株式会社〉へ入社するために富士吉田市へ移住。未経験から、ジャカード織物の機織り職人として6年間勤務し、2022年春に退職。
現在は、染料植物を育てて草木染めをしたり、植物と親しむ暮らしを楽しんでいる。

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