富士山は水の神様だったのか?
富士山の神様といえばコノハナサクヤヒメさま。
一般的には「火の神様」として知られている。それはニニギノミコトの子を火の中で産んだことからそう言われている。富士山の噴火や火の災難を免れたいために神として祀られたわけだ。
富士山はその地中にマグマをたんまりと蓄えた火の山というイメージからコノハナサクヤヒメさまが祀られたという話が定説になっているが〜
しか〜し、実は真逆の説もある。
富士山はその地中に世界でも有数のレベルの高い豊富な湧き水を蓄えている。そのことから、富士山自身が「水の神」と祀られた時代もあるし、コノハナサクヤヒメさまが「水の神」とも言われている。
ん、「火」と「水」?
これ全く真逆の存在ではないか?
元々、火山の神様として全国に祀られた「浅間神」は最初から神様ではなく、富士山中(富士宮側)にある「富知神」を祀った神社が浅間神社における富士信仰の元祖であった。
で、この「富知神」って何者かというと、なんと、この神様は「水の神様」なんです。
コノハナサクヤヒメさまが祀られる前の浅間神社の神様はこの「富知神」だったというのだ。
そう思って、北口本宮浅間神社などの主だった浅間神社を見渡すと、どこも沸々と湧き出る素晴らしい水が溢れている。
お水さま目線で神社を巡ると、神社を取り囲むように水脈がぐるぐるしていている。
「そうか、富士山周辺の神社の清々しさはこの水の神が竜の如く渦巻いているからなのかな〜なんて思ったりもする」
富士山はどこを掘っても良い水が出る。だから、日本中の人たちだけでなく世界中の水マニアが富士山の名水を求めてやまない。
確かに、「〇〇の名水」なるものは全国にあるが、富士山のものは一味違う。
あまり知られてはいないが、世界の一流品ブランドの香水や化粧水を作るときの割水にも使われているという。それは、雑味もなくなかなか腐らないことからだそうだ。
「そりゃ、そうよ。なんたって神様のお水さまだからね!」
富士の雪解け水が地中に染み込んで気の遠くなるほどの長い年月をかけて地中をさまよって、そしてやっとの思いで地表に湧き出る。その間に全ては浄化され多くのミネラルを蓄えている。実はそれだけではなく目に見えない富士山のヒーリングパワーもたんまり蓄えていると思いながら飲んでみるといい。
さて、現在進行形で言えば、富士山の神様はコノハナサクヤヒメさま。そして全国にある浅間神社のご祭神の多くはコノハナサクヤヒメさまもしくは、その姉のイワナガヒメさま。
前回も書いたがこの兄弟の物語はなかなかのものである。
超がつくほどの美人であるコノハナサクヤヒメさまと、本当か嘘かわからないが醜さ満点のイワナガヒメさま。2人を妻としても良かったのに旦那であるニニギノミコトさまは美人を選んで長寿や永遠の繁栄をもたらせてくれるイワナガヒメさまを実家に返してしまった。
そのことから天津神であるニニギノミコトさまは永遠であったはずの命を手放してしまった。
この二人の姉妹は本当に美人とブスだったのか?
本当はよく似た美人姉妹だったという話も研究家たちの中でも一部評価している人もいる。
富士山にコノハナサクヤヒメさま。
八ヶ岳にイワナガヒメさま。
といった具合に祀られている。よくみると富士山と八ヶ岳はお互いに見つめあって、悠々と聳えているではないか。特に八ヶ岳側から富士山を見ると両方の山がとても似ていることに気がつく。
元々同じ形だったけど噴火などで崩れ落ちていってというのは八ヶ岳、富士山は噴火を繰り返したが整った形は維持してますます美しくなった。ということか。
調べてみた!
八ヶ岳と富士山にまつわる昔話が出てきた。
大昔のこと、八ヶ岳がまだ活火山であった頃、その当時は富士山と八ヶ岳は噴煙を上げて「こっちの方が高いぞ〜」なんてね、競いでいたという。
つまり、コノハナサクヤヒメさまとイワナガヒメさまはお互いが一番と競いでいたというのだ。
ある日のこと、コノハナサクヤヒメさまがイワナガヒメさまに向かって、
「わたしのほうがあなたより高いのよ」
と言いと、イワナガヒメさまも、
「わたしのほうが高いわよ!」
と、言い返したといいます。
その結果、その姿を見かねていた如来様が現れて、いいかげんやめさせようと思い、「水裁判をしてやろう」
とのことになったのです。
八ケ岳の峰から富士山の峰まで長い樋をかけて、そこに水を流したそうです。 すると、水は八ケ岳から富士山へと流れ、八ケ岳のほうが高いということが決まった。
ところがプライドの高いコノハナサクヤヒメさまはこの結果にはどうしても納得できず、怒ってしまって思わずイワナガヒメを蹴飛ばしてしまったという。
すると、天地も揺らぐほどに大音響と共に、八ケ岳は8つに裂けてしまったのです。
そのために八ケ岳は今の形となり、富士山よりも低くなってしまったという話です。 このお話は、八ケ岳の裾野に住む人たちの間で古くから言い伝えられている有名な話です。
八ヶ岳の高さは、 蓼科山2530m、天狗岳2645mなのです。
面白い話ですね! 富士山と八ヶ岳、どちらも山梨県を代表する山、感慨深いです。