宮﨑 博

2024.02.29

富士吉田知ル知ル13「映画に観る富士吉田の風景って〜!」

そのまんま映画のシーンのようなロケーション


最近は全国的に昭和時代がブームになっている。
そんな中、昭和の街、富士吉田が映画のロケーションで選ばれることが多いように思う。
 
先日、全編富士吉田で撮影された映画の上映会に行ってきた。
タイトルは『メンドウな人々』。
監督の安田真奈さんが脚本も手がけた力作。
「メンドウな人々」配給:映画24区



2024年1月 KURA HOUSEで監督さんを招いての上映会があった
 

「メン」だけでなくタイトルを逆から読んで「ンドウ=ウドン」をかけているスパイスの効いた小洒落た映画だった。(監督さんが言ってました)
上映後のトークセッション。左が安田監督、ロケーションを担当したのが小林純さん。「ロケーションの設定がワクワクしました」と語る監督


富士吉田の若者たちが吉田のうどんを通して閉塞感からの脱出や甘酸っぱい青春の風景を魅せてくれる。
作品内容はネタバレしないようにして、各地の上映会やブルーレイとかで見てもらいたい。
 
この作品のすごいところは全編富士吉田フューチャーというところだろう。
 
「メンドウな人々」のロケ地は富士吉田市の西裏。中でも月江寺大門商店街が映画ではメインストリートだ。
撮影に使われているのが2018年に閉店してそのまま残っている「レストラン鮮笑」。
この店を舞台に物語は進んでいく。
高校のうどん部が中心のストーリー


 
ところで、この「レストラン鮮笑」って気になるよね。
僕は随分前に、1回だけこのレストランに行った記憶があるが、そこはまるで小学生の頃にワクワクして連れて行ってもらった神戸のそごうデパートの最上階の大食堂のようだった。
「レストラン鮮笑」は、まずお店の匂い、デミソースの香りやフライの揚げたてのフワ〜とくるやつ。
メニューはちょっと高級感ある洋食。当時は決して家庭では食べられない手の込んだ洋食だ。
きっと、西裏がワチャワチャしていた頃には家族連れが行列していたのだろうなあと想像できる。
 
「レストラン鮮笑」は、昭和の時代のワクワク、ドキドキする洋食レストランだったはず。
まず、ここをロケに使うというのはロケーションを手伝った人のセンスだろうな。なかなかいいと思いました。
 
さて、富士吉田はセットを組まなくてもそのまま撮影できる、まるで昭和の映画村だね。できればこのまま昭和感を残したまま(例えば電信柱とかね)発展してもらいたいところです。
では、「メンドウな人々」以外に富士吉田がロケーションとして選ばれた映画は何?
と、考えると、だいぶ前になるがウッチャンこと内村光良さんが初監督作品として世に送り出したのが2006年全国公開された「ピーナッツ」が思い出される。
「ピーナッツ」配給:コムストック


西裏の草野球チームが街の再開発に反対して練習試合を挑む話。
この映画でもほぼ全編が西裏ロケとなっている。だからこの映画を見るとちょっと前のこの街の様子がわかる。最近は少し空き地なんかも出来てきて寂しい感じの西裏だけど映画の中では当時の姿がうかがえる。ここでも月江寺大門商店街はバリバリ出てくる。もちろん「レストラン鮮笑」もだ。
この作品は各種の配信サービスで観られるので観たことのない人はチャレンジして見てくださいね。
西裏通り商店街。今は空き地になってしまったどさん娘が写ってる〜


「ピーナッツ」の中で出てくる駅前の再開発計画のモデル図。タワマンもあるし、ショッピングモールもある。これが下吉田駅〜


新世界乾杯どおり〜走ってます
 


 
もひとつ、「レストラン鮮笑」が出てくるのが、映画「パッチギ」のあの井筒和幸監督が手がけた「無頼」だ。2020年公開のこの作品は巨匠、井筒監督が8年ぶりにメガホンをとった作品。
ある極道の男が戦後の時代をどう生きていったのかを幼少期から引退までのすさまじい人生を描いた大作だ。
「無頼」製作・配給:チッチオフィルム


この映画の中盤あたり、ちょうど主人公が成り上がっていく時代のロケーションとして選ばれたのが西裏だった。もちろん「レストラン鮮笑」も写っているけど、月江寺池手前のカーブのあたりにあったレトロ喫茶も重要な舞台になっている。この喫茶店一度行ってみようかと思っていたのだけどコロナの影響もあって閉店してしまった。もはや名前も思い出せない(笑)。「あ〜あ」。
名前思い出せないレトロ喫茶とその中での撮影


 
さらに月江寺駅前近くの中華料理屋「梅新」もバッチリロケされているし、「まる作」の駐車場では殴り合いまでやってる〜。
井筒監督、さすがよくわかってますなあ。
見慣れた風景の一つ「梅新」。大画面です

もちろん店内もバッチリ


定番の本町通りも出てます


そういえば、オダギリジョー主演の「ゆれる」も富士吉田が使われている。監督は「蛇イチゴ」鮮烈デビューした西川美和さん。公開はこちらも2006年。
18年も前なのにこの辺りの風景はあまり「変わらないな〜」と実感できる作品だ。
「ゆれる」配給:シネカノン


中華の「大黒天」が〜




そして、もう一つ。マニアックなのを。
「ちょっと〜、これ本町通りじゃ〜」
という作品がある。
「時をかける少女」だ。

「時をかける少女」配給:スタイルジャム




筒井康隆原作の同名小説は何度か映画化されていて、大林宣彦監督作品としては超有名。

が、しかし、今回の作品は同盟作品の4度目の映画化、2010年公開の「時をかける少女」だ。監督は谷口正晃さん、日大芸術学部卒業後、根岸吉太郎監督や庵野秀明監督、そして〜、先ほどの井筒和彦監督の元で助監督後の2作目がこの作品だ。

この作品、よ〜く観ていないと富士吉田がわからない。ロケ地というよりちょい撮りかな。マニアックな人は是非一度〜ご覧ください。

ほらっ、ここ。本町通り〜
 


映画のロケ地になるというのは、誰の心にも入りやすい景色だからだろう。とっても美しい山や海などは当たり前だけど、富士吉田は違う。伝統的な昭和の街の景色が素晴らしい風景になっている。どの作品も富士山を強調していないところがいい。人が生きているセットではない生の姿がここにあるからなのだろうな。
もっと作品はたくさんあるけど今回はここまで、また第2弾やりたいと思います。
 

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宮﨑 博

編集者・出版プロデューサー

出身地
神戸市

プロフィール
大手出版社社員を経て20年前に2拠点生活を開始。16年前より富士吉田市に完全移住し、リモート生活を実践。現在、富士山に一番近い出版社の編集統括に就任中。

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