FUJIYOSHIDA DIARY MAGAZINE

コミュニティ

藤崎 仁美

2021.12.11

ハタオリのあるくらし05「ハタオリマチフェスティバル」

2021年『ハタオリマチフェスティバル』に参加してきました

今回は、『ハタオリマチフェスティバル』のお話です。
10月末に富士吉田市で開催された『ハタオリマチフェスティバル』に〈宮下織物株式会社〉として参加しました。
2016年からはじまった『ハタオリマチフェスティバル』。通称ハタフェスと呼ばれています。
ハタオリのまちならではのお祭りです。

ハタオリマチフェスティバル』公式HP

会社の一員として私が参加するのは、実ははじめてでした。
今回は、ハタフェス内で開催されていた『B-TAN MARKET』に〈宮下織物株式会社〉として出店しました。

『B-TAN MARKET』とは、織物工場でのちょっとした傷やオーダーミスや余りなどが理由で倉庫に眠っている布「B反(びーたん)」をハタヤさんが直接販売するマーケットです。
宮下織物でも、規格の違うものや糸使いが違うもの、残りメーターが少ないものなどを並べ、今回はお祭り価格ということで、1m単位で、破格の安さで販売しました。

富士吉田市の〈小室浅間神社〉という、お馬さんもいる神社の境内のなかで、各ハタヤさんの様々な生地が並びました。
ほかにも、食べ物や雑貨の販売などもあり、たくさんの人が来てくださり、とてもにぎわっていました。

目の前で手に取ってもらうドキドキ

私は普段、お客さんと面と向かって関わることはほとんどないため、目の前で、「これにしようかな…」と悩まれたり、喜んで選んで行かれる人を見るのがとても新鮮でした。

なかには、こんな嬉しい出来事もありました。

愛知県から来てくださった方と出合い。その方は襟元に〈宮下織物〉のハギレを身につけてくださっていて。お話を聞いたら、富士山駅内の〈織物協同組合〉で販売されているものを、たまたま見つけて、今日の日に合わせて付けてきてくださったそう。

私たちの織物は、舞台衣装に使われることが多いこともあって、芸能人の方が着用している写真を後から見ることはよくありますが、たまたま出会った人が身につけているのを見ることは、あまり多くありません。

でも、こうして実際に、自由に身に着けてもらっているのを見て、とても嬉しくなりました。

お洋服でも、ちょっとした小物づかいなどにも、鮮やかな織物をとりいれてもらえると、日常の身近なところで目につくたびに気持ちが明るくなって、日常に輝きが増すのではないかなと思っています。

織物を暮らしのなかでも楽しんでもらえたらいいなぁ、と願っています。

やさしい人たち

初日はとってもいい天気でしたが、私が手伝っていた2日目は、設営が済んだところであいにく本降りの雨となりました。
でも、ほかのハタヤさんの好意に救われ、急遽タープで雨よけをつくることができ、無事に続行できました。
事務局の方々も、会場を常に回って、不備はないか、何度も声かけをしてくれて、いろいろと親身になってサポートしてくれて助かりました。

なにより、女二人での不慣れな作業の様子を見かねてか、出店されていたハタヤさんたちがすぐに手助けをしてくれ、撤去作業も気づけばたくさんの方の力を借りました。

こんなに当たり前のように手を差し出し、まわりの人のためにさっと動けて、さわやかに去っていく…「なんてすばらしい人たちなんだろう」と、ただただありがたく、尊敬の念を抱きました。
工場にこもっていると気づけない、富士吉田の人たちのやさしさを感じられた出来事でした。

また、わたしは恥ずかしがりで、なかなか自分から話しかけて交流していけないのですが、それでも、今回、出店した際に、ほかのハタヤさんとお話しできたりして、「あぁ、わたしはこういう地域で、地場産業にかかわっているんだな」とつながりを感じることができた一日でした。

富士吉田市に移り住んでから、よく思うのですが、『ハタオリマチフェスティバル』などを運営されている事務局の方や、市役所の方、商工会議所の方、関わってくださっているミュージシャンの方、写真家の方、映像を撮られる方、各ハタヤさん含め、穏やかで素敵な人が集まっているなぁ、とすごく感じます。

きっと、ここまでのチームワークや穏やかに進められるような土台ができるまで、それはそれは、たくさんの努力や構想やはたらきがあったことでしょう…。

わたしは、できあがったハタフェスにちょこんと乗せてもらったような立場ですが、富士吉田は、すてきな人がすてきな取り組みをしている、「環境と自然と人に恵まれた、いいまちだなぁ」と、やはり思いました。

きっと、来年も開催されるはずなので、ハタオリマチに興味がある方は、ぜひ来てみてください。

色々なハタヤさんの織物や、製品、会社の人たちの雰囲気はもちろん、このまちで活動されている人たちの誠実さや穏やかな雰囲気を感じることができるので、参考になるのではないかなと思いました。

今回も読んでいただき、ありがとうございました。

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藤崎 仁美

1989年名古屋市生まれ。大学ではフランス語を専攻。大学在学中、〈フジファブリック〉のイベントのために、はじめて富士吉田へ訪れる。卒業後は愛知県のエンジニアリング会社で総務を経て、社内異動によりNX(3DCAD)の講師を務める。
そのころ、仕事のかたわらで週末京都の学校に半年間通い、草木染めや手織りを体験。染織や自然と親しむ暮らしがしたいと思うようになる。そして、2015年、〈宮下織物株式会社〉へ入社するために富士吉田市へ移住。未経験から、ジャカード織物の機織り職人として6年間勤務し、2022年春に退職。
現在は、染料植物を育てて草木染めをしたり、植物と親しむ暮らしを楽しんでいる。

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