FUJIYOSHIDA DIARY MAGAZINE

土地・環境

宮﨑 博

2023.07.12

富士吉田知ル知ル4「神社多いな〜富士吉田」


珍しい神様がいらっしゃいました

富士吉田に来て思うこと。
神社多いな〜、祠もあちこちにあるな〜、ということ。

京都に神社がいっぱいあってというのはなんか当たり前だけど、
富士吉田の神社の数は半端ない。
しかも〜、ほとんどがコノハナサクヤヒメさま。

あっちもこっちも「ヒメさま」「ヒメさま」「ヒメさま」だらけ。

日本には、正式に登録されている神社だけで81,067社もあるんだって。
山梨県には、1,286社で都道府県別にみると数の多さでは28位。
京都が多いと思っていたけど、1,757社で18位。
人口比率からすると山梨県の方が多いことになるんだね。

さて、せっかくこんなに立派な神社が多いところに住んでいるのだから神社に参るのは当たり前ということで、まずは大御所の北口本宮富士浅間神社に訪れてみた。
家からすぐに立派な神社に行けるなんてこれも贅沢なことだね。

正面の「富士山」と掲げられた大鳥居から入ってみた。
一礼してお邪魔させてもらうと、鳥居を潜った瞬間から空気感が変わる。
パワーありますね〜。

北口本宮冨士浅間神社、正面の鳥居には「富士山」が掲げられている
北口本宮冨士浅間神社、山開き前日の大祓


清々しく緩やかな登り参道をしばらく歩くと右手に角行(かくぎょう)さんの立行石なるものが鎮座しています。

角行さんって誰?

石の横に立っている説明書きを見ると、「なんと、富士講の開祖」とある。
江戸時代が始まったばかりの頃に、この石の上に、裸んぼうでバレリーナのように爪立ちして修行したという。
しかも真冬にだよ。全身から血を噴き出しての荒業は30日たったところで地元民に止められて終了〜。

この角行さんは長崎生まれなんだけど、全国のいろんなところで苦行をしてきたそうだ。こういった苦行は後進者に響いたんだろうね。それでここでは富士講が始まったという。

角行の立行石


さてさて、この石、乗ってはいけないとは注意書きがないから乗ってみたいという人はいるんじゃないかな〜。
でもしめ縄をしているしバチ当たったら困るしね。
で、石さんのてっぺんをなでなでしてみた。

「よお来たの〜!」って言っている感じがする。
「乗っていい?」と聞いてみると「シーン!!」
やっぱりダメか。
するとお日様の光が、そのちょい横の石に降り注いできた。
「あっ、こっちなら、乗っていいってことね」と、その小さな石に爪先立ちしてみた。
「おっ、いい感じ」角行さんの気持ちが少しわかった気がした。

角行の立行石の横にある石、登ってもいいかも
角行の石の横に残る遺跡。鳥居だったのかな


さてさて、さらに本殿に向かうことにした。

大きな鳥居の手前に川が流れていた。
しかも階段がついていて水面が触れるようになっている。
「これ、あれか、伊勢神宮で言うところの、五十鈴川の御手洗場だ」
ここで手を洗って清めて、場合によってはザブッと入ってもいいかも。

御手洗場か?



小さな橋を渡って立派な「阿(あ)」「吽(うん)」の狛犬さんにご挨拶して、次の大きな赤い鳥居へ。


「おお〜っと、空海さん〜、こんなところに〜」
素晴らしい鳥居は木造建築では最大級という。注目すべきは、両部鳥居(りょうぶとりい)ということ。
両部鳥居とは、本体の鳥居の柱を支えるように稚児柱あるもの。真横から見ると柱の両サイドにも支えの柱があるのがわかる。しかもでかい。

この前、世界の首脳が集まった広島の厳島神社の鳥居もこの形だ。
では、この形って何? かというと、これこそが空海さんが作った鳥居ということ。


そういえば、参道に並んだ立派な灯籠にも「卍」の印が付けられていたな〜。
この「卍」は、富士講の指導者の一人、村上光清の富士講グループの講印ということ。
それに、角行の立行石の横の参道部分にも石の遺跡が、「これも両部鳥居が建っていた後とちゃうか?」と思った。
けど、実際は仁王門があったそうだが、明治政府の神仏分離令によって取り壊されたものの残骸。

本当に荘厳でパワーがあるものには神も仏も関係なく祀られたってことだね。
「素晴らし〜〜、さすが、富士山!」

灯籠の「卍」

その次に「隋神門」をくぐって、「手水社」へ。

「またまた〜、おおっと、出ました、三本指の龍、しかも玉を持っています」
「あれれ、玉をよ〜く、見ると、鬼太郎の目玉おやじさんじゃないですか!」
めちゃくちゃかっこいい龍さんだね。

竜が持ってる目玉おやじか?


さく〜っと、本殿をお参りして、天井の天狗さんにもご挨拶して、順路へ。
裏側に回ると、いました〜左甚五郎(ひだりじんごろう)作「恵比寿さま、大黒さま」。

左甚五郎の恵比寿大黒、ひょうきんな顔


左甚五郎さんといえば、日光東照宮の「眠り猫」とか、言わないよ、聞かないよ、見てないよの「三猿」の作者。まさに江戸時代初期の蝶引っ張りだこのフィギュア作家だね。そう考えると日本フィギュア作家は伝統文化なんだね。
でも得意の「猿」はここには掘らなかったんだ。

と、一回りして本殿正面に戻ったら〜〜。
「いるじゃないか〜、猿さまが」
本殿向かって右側の灯籠の側面に猿の彫り物を発見しました〜
「ありがたい〜」拝んでいたらインバウンドの人も一緒に拝んで写真撮ってたよ(笑)。

みっけ! お猿さん〜


やっぱ猿だよね、「富士山沸出の日」という伝説の中で、富士山は一夜にして吹き出して出来たという。その年が「庚猿(かのえさる)」の年であったことから「猿」が富士山の使いと言われているそうだ。そういえば登山道の途中にも猿さまの門番がいるもんね。

さて、北口本宮冨士浅間神社で気になる末社が一つ。
ここ、あまりお参りしている人いないと思うんだけど、行った方がええよ〜っていう神社。

境内から道を隔てた隠れた場所にある「青麻社」がそれ。
青麻社という名前だからてっきりセオリツヒメサマかと思ったが、間違っていた。
祠をよく見ると「祭神 太玉命(フトダマノミコト)」と書かれてあった。

青麻社


神社によくある玉串やしめ縄のルーツとされている神様だそう。
そういえばこの社の裏側に高天原がある。きっとどこかに天岩戸も隠れているはずだ。
なんでかというとアマテラスさまがお隠れになった時に踊った神様がアメノウズメさま、その父親がこの太玉命。そして太玉命はその時祝詞を読んでアマテラスさまを呼び出すメンバーの1人だった(日本書紀)。

でも、なんでここをお参りした方がいいかというと、
小さい声で、「実はね、金運や商売繁盛を叶えてくれる神様だよ、シ~、あんまり大きな声で言わないけどね」。

ここに来たら必ずこっちもお参りしてくださいね!

こんな感じで僕の北口本宮冨士浅間神社の参拝は終わった。これからも色々な神社を巡ってみたいと思うけど、視点を変えると神社って面白い発見がいっぱいある。
自分なりの参り方や散策、発見をして行くのもおもろいと思うよ。

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宮﨑 博

編集者・出版プロデューサー

神戸市出身、大手出版社社員を経て20年前に2拠点生活を開始。16年前より富士吉田市に完全移住し、リモート生活を実践。現在、富士山に一番近い出版社の編集統括に就任中。

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