FUJIYOSHIDA DIARY MAGAZINE

土地・環境

藤崎 仁美

2023.08.01

草木とともにあるくらし16

7月になりました。

7月は、富士北麓でいろんな花が咲くのを見られる季節。

とくにこの時期は、蓮が咲くのが毎年楽しみで。「今年もそろそろかな」と公園へ見に行ったら、ちょうど咲いていました。

咲くまでのつぼみは色が濃く、咲いてからは発光しているような花びらになる蓮。そんな花も、おおらかな葉っぱも、大好きです。

公園では、紫陽花もたくさん咲いていました。

きっと他の地域では、紫陽花はもう終わっているのではないかと思いますが、富士北麓では7月も紫陽花が綺麗に咲いています。

また、「河口湖ハーブフェスティバル」も開催されていて、開催場所の一つである大石公園では、満開のラベンダーと富士山を一緒に見ることができました。

ラベンダーと一緒に見る富士山の景色は穏やかで、なんだか癒される…。

ラベンダーの近くへ行けば、ラベンダーのいい香りが風にのってやってきます。

海外からの観光客もたくさん訪れていて、みなさん写真を撮っていました。

そんな7月。

私の7月初めは、東京でのマルシェに参加するという、ちょっとした挑戦から始まりました。

マルシェ会場は六本木で、普段は行くことがないような土地だったこともありドキドキ。

私が参加しているコミュニティ主催のマルシェイベントだったので、見ず知らずの人が来られるというよりは、関係性のある方のご来場が多く見られました。そのためかずっと楽しくて、あっという間の時間に。

「薬草を染めるとこんな色になるんですよ」とお伝えすると驚いてくださったり、「私はこの色が好き」と各々の感性でお好きな草木の色を選んでいただけたりしたことが嬉しかったです。

気軽に草木の色を手に取っていただこうと用意した、リネンの布を縫って草木染めをした小さなコースターや巾着やマットは、ありがたいことにほとんど全て売り切れました。

富士のさくらんぼの枝で染める「リネンのオーダーストール」や、今年の藍で染める「シルクストール」の予約受注も多数いただき、会場全体としても大盛況のうちにイベントは終了。

事前に予約を受け付けていたさくらんぼの「リネンのオーダーストール」は、マルシェ当日までにひとつずつ染め、当日にはそれぞれの方に手渡しすることができました。

お渡ししたストールをその場で纏って見せてくださる方もいて、その姿が本当にお似合いで美しくて、笑顔もまぶしくて。本当に嬉しかったです。

「草木の色は自然の色だからどんな方にも調和する」というのは私の持論。ですがオーダーストールの場合は、その方のためだけの色になるようお祈りして染めていくので、なおさら特別な唯一無二のストールが完成します。

そんなストールを直接お渡しすることができて、さらには目の前で纏って喜んでいただいているのを見ることができて、感無量でした。

花を咲かせようとたっぷりと蕾をつけていたさくらんぼの枝。本来は剪定されたあと、燃やされ灰として使われたり廃棄されたりするのでしょう。

その枝が、美しい色になり、いろんな方の元へと渡っていったことが嬉しいです。

ちなみに、花を咲かせる前の枝と秋の枯れた枝では、染まる色が全然違うのです。

花を咲かせる蕾をたくさんつけた枝は、ピンク色になってくれましたが、秋の枝は茶色に近い枯れたような色になります。

どちらの色にも良さがあり、色に良い悪いはないのですが、植物の生きるエネルギーを感じていただきやすいこともあり、私は生き生きしているときの植物を染めるようにしているんです。

そうして植物があたえてくれた色が、今度はだれかの日々を彩り支えてくれる、その一助となれることが嬉しいなと思っています。

イベントへの参加を決めてからの数ヶ月は、ずっとマルシェのことが頭にあって、当日に近づくにつれ、頭のなかはヒートアップ状態でした。

当日も楽しくてアドレナリン全開という感じだったので、イベントが終わってから、やっと落ち着いた日々に戻ってきました。

そんなころ庭のエキナセアが、ついに美しい花を咲かせてくれました。

咲くまでの様子もずっとパワフルでしたが、花も本当にパワフル。

真ん中のところをそっと触ってみると、かたくトゲトゲしていて力強さを感じます。

「エキナセア」という名前は、ギリシア語で「ハリネズミ」を意味するエキノースに由来するそうです。

エキナセアは美しいだけでなく強力な薬草なので、枯れてしまう前に摘み、チンキをつくってみました。

チンキというのは、ハーブをウォッカなどのアルコールに浸け、薬効成分を抽出してつくるエキスで、1年もつといわれています。

エキナセアは免疫力をサポートしてくれるので、「免疫力が下がっているな」というときに、飲み物にチンキを数滴たらしたり、水で薄めて外用で使ったりすることができるのです。

梅仕事で使ったホワイトリカーが残っていたので、今回はウォッカではなくホワイトリカーでつくることに。

まず花を用意します。ほれぼれする美しさです。

それを瓶にいれて、

ホワイトリカーを注ぎました。

残り分が少なくて、ぎりぎりお花が浸かるくらい。もっと入れても良かったかもしれません。

2週間ほどたってから、濾して、完成です。

毎日1~2回、瓶をやさしく振っています。できあがるのが楽しみです。

エキナセア以外にも、庭ではいろんなハーブが花を咲かせ始めました。

昨年も咲いてくれたオレガノや

セージの花もいい香りで綺麗。

セントジョーンズワート(西洋オトギリソウ)の花も。

チンキをもっとつくりたいし、お料理に使えるハーブはお料理に使いたいし…夏はハーブたちの勢いもあってやりたいことが増えて、なんだかんだと大忙しです。

そんななか、ずっとやってみたかったことがありました。

それは、芳香蒸留水いわゆるハーブウォーターをつくること。

私は数年前からローズゼラニウムの香りが大好きで、お肌にも良いので、葉っぱをお風呂に入れたり、ローズゼラニウムの化粧水を購入して使っていたりしたこともありました。

今年は畑で元気に育っているので、このローズゼラニウムの葉っぱを摘んで、ローズゼラニウムウォーターづくりに挑戦。

耐熱ガラスのハリオのハーブウォーターメーカーを入手して、ローズゼラニウムは10gほど、あとは精製水と氷を用意しました。

葉っぱのところに沸騰させた精製水を入れて、その上にガラスをセットしたら、そこに氷を入れて、

下に設置したキャンドルに火をつけて、蒸留開始です。

火によって温められた蒸気が氷で冷やされて、一滴一滴、ビーカーに落ちていきます。そこに香りの成分があります。

大切な一滴一滴。

キャンドルに火をつけてから2時間ちょっとで完成しました。

出来上がったローズゼラニウムウォーターは、本当にいい香り。

早速、顔や身体に使っていますが、とてもいいです。日差しに疲れたお肌も喜んでいる気がします。

ローズゼラニウムには抗炎症作用や保湿の効能があるので、夏の疲れたお肌にもぴったりです。

蚊によく刺されてしまうので、そんなお肌も癒やしてくれたらいいなぁと思っています。

保存料が入っていない水のため長くは持たないので、冷蔵庫に入れて保管しつつ、1週間程度で使い切るのが目安のようです。

ハリオのキャンドルでつくるハーブウォーターは、ちょうどそれくらいの量ができるので、自分で使うにはちょうどいいなと思って満足しています。

とくに何も難しくなく、キャンドルが燃え終わる頃くらいに完成するので、なにか他のことをしながら、ときどき見に来てワクワクしていたら完成しました。

「他のハーブでもハーブウォーターをつくってみたいな」と、夏にやりたいことがますます増えた、なんだかんだ大忙しの7月でした。

短い富士北麓の夏を味わっていきたいです。

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藤崎 仁美

1989年名古屋市生まれ。大学ではフランス語を専攻。大学在学中、〈フジファブリック〉のイベントのために、はじめて富士吉田へ訪れる。卒業後は愛知県のエンジニアリング会社で総務を経て、社内異動によりNX(3DCAD)の講師を務める。
そのころ、仕事のかたわらで週末京都の学校に半年間通い、草木染めや手織りを体験。染織や自然と親しむ暮らしがしたいと思うようになる。そして、2015年、〈宮下織物株式会社〉へ入社するために富士吉田市へ移住。未経験から、ジャカード織物の機織り職人として6年間勤務し、2022年春に退職。
現在は、染料植物を育てて草木染めをしたり、植物と親しむ暮らしを楽しんでいる。

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