FUJIYOSHIDA DIARY MAGAZINE

コミュニティ

上田 潤

2022.02.14

上田潤の地域福祉とふじよしだ19「つながる」

僕の生活支援活動『じばサポ』一番のお得意さん、Sさん。
このSさんはひとり暮らしで、足を悪くしています。
筋力もかなり低下していて、なにかに掴まらないと、ひとりで歩くのも危ないほどです。

なので、一緒に出かけることが多い。
いわゆる移動支援というやつです。
買い物へ、郵便局へ、銀行へ。
迎えに行くと「足が痛い」と、涙ぐむことがあります。

そんな時は僕が財布を預かって、手続きや買い物などを代行します。

Sさんは僕のことを”おにいちゃん”と呼びます。
携帯電話にも”おにいちゃん”と登録されていました。
僕もSさんのことはあだ名で呼んでいます。
いつものようにSさんと買い物へ行ったときのことです。

手渡されたメモからは、なにを買おうかたくさん悩んだ様子が伺えました。
配食サービスばかりの食事では飽きてしまうし、
いつもホームヘルパーさんに買ってきてもらうのもつまらない。
やっぱり自分の目で見て、選ぶほうが楽しいみたいです。
カートを押しながら店内を見てまわる足取りは、家でのそれよりはるかに軽やかでした。

「たまの贅沢だから、刺身でも買おうかね」
メモにないものも買い物かごへ入れていきます。
僕になにか買ってくれようとも(お気持ちだけありがたく頂戴いたします)。

僕がコーンスープを探している間に見失ったSさんは、井戸端会議中でした。
お二人はかなり長い付き合いで、数年ぶりに再会したそうな。
Sさんが足を悪くするまでは、よく互いの家にお茶飲みに行ったんだとか。
話に花が咲いて会話に夢中のSさん。あとの買い物は頼まれてしまいました。
ふたりが最後、別れ際に「頑張って生きていこう」と声を掛け合っていたのが印象的です。

帰りの車の中で、Sさんは言いました。

「生きていくのは大変だけど、生きていればこうやって嬉しいこともあるんだね。ひとりで家に引きこもって足の痛みに耐えていると、死んでしまいたいと思うことだってあるんだよ。私はあなたに会えて本当によかった。あなたに会えたから今日、あのおばあさんに会えたんだ。頑張って生きなきゃね」

僕の活動は人のつながりを運ぶこともあるんだと、嬉しい気持ちになりました。

​​写真の掲載に関してSさんの承諾をいただいています。

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上田 潤

富士吉田市地域おこし協力隊

山梨県南アルプス市出身。大学進学を機に上京し、数社のジョブホップを経て2020年10月に地域おこし協力隊着任。地域福祉をテーマに、高齢者の生活支援〈じばサポ〉、高齢者との日常を綴るインスタマガジン〈しわじわ〉、自宅を地域へ開放した〈ソーシャルハウス宝島〉の3事業を運営。”共生社会の実現”を目指し、人のつながりで社会課題の解決に向き合う。

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