FUJIYOSHIDA DIARY MAGAZINE

コミュニティ

上田 潤

2021.01.08

上田潤の地域福祉とふじよしだ03「筆談」

年末年始、これほどゆっくり実家で過ごしたのはいつぶりだろう。

爽やかに晴れた空をぼんやりと眺めながら、車を走らせ、およそ1時間。

南アルプス市にある実家へ到着。父・母と、1年半前から家族になった黒猫が出迎えてくれた。

僕には弟が2人いて、一応は長男。次男は既に結婚して子どもも2人いるし、三男坊は東京で働いているため、今回帰省は自粛するそうな。なので、今年は僕、父、母の3人と猫1匹で年越しである。

元々おしゃべりな僕は、富士吉田市での暮らしのこと、地域おこし協力隊としての活動のこと、はやく家族がほしいとかなんとか、他愛もないことをたくさん話した。

年末年始の特番を一緒に見たり、早い時間から父と乾杯をしたりと、とても穏やかな時間を過ごした(毎朝5時半に黒猫くんに起こされたこと以外は…)。

両親の各実家へ、お墓参りと新年のご挨拶も。

祖父、祖母の中で元気なのは、父方のばあちゃん1人だけ。

ほかの3人は、僕が生きている世界ではもう会えないらしい。

元気といっても、ばあちゃんはもうすぐ90歳。透析治療をしていて、週に3回、1日3時間、管とベットにつながれ、体内の血液を入れ替えている。耳も遠いし、目も悪い。

最近は発作で、身体に痛みがいきなり襲ってくるという。

※おばあちゃんとも相談し、撮影時のみマスクを外しました

この日は、ばあちゃんと筆談で話をした。

自分がボロボロなのに、「仕事は順調かい」、「身体は大丈夫かい」、「無理はしていないかい」、「いい人は見つかったかい」、なんてことを聞いてくる。

多くのシワを携えた手が、ゆっくり動く。

達筆すぎて、読むのに一苦労だった。

今回、家族と過ごす中で、いわゆる老いというものを、つらつらと感じとった。

祖母はもちろん、父と母に関しても。

髪の毛や肌の色、動いたり話す速度、姿勢、手のシワや顔のたるみはわかり易い。

より気になったのは、すぐ疲れてしまう身体や精神、外部との関わりの少なさ、日々の生活の中で、幸福感や充実感をどれくらい感じているのだろうか、といったような点だった。

「地域福祉」に興味を持っていなかったら、気がつくことができなかったかもしれない。

あるいは、自分のことばかり考えて、気づかないふりをしていたのか。きっと、後者のような気がする。

“愛情をもって観察をする”ということは、目の前のコト、ヒトから目を背けずに真っ直ぐに見て、その向こう側を考えたり、想像する、ということなんだろうな。

そんな目線が、少しづつ自分の中に芽生えていることを実感して、嬉しさを覚えた、三が日の一幕。

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上田 潤

富士吉田市地域おこし協力隊

山梨県南アルプス市出身。大学進学を機に上京し、数社のジョブホップを経て2020年10月に地域おこし協力隊着任。地域福祉をテーマに、高齢者の生活支援〈じばサポ〉、高齢者との日常を綴るインスタマガジン〈しわじわ〉、自宅を地域へ開放した〈ソーシャルハウス宝島〉の3事業を運営。”共生社会の実現”を目指し、人のつながりで社会課題の解決に向き合う。

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