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上田 潤

2021.06.12

上田潤の地域福祉とふじよしだ11「ばあちゃん力」

今までの連載を読み返すと少し堅苦しい内容が多かったので、今回はゆるっとした話題をお届けしたいと思います。

ここ数年高齢者の介護予防や居場所づくりを目的とした、”高齢者サロン”と呼ばれる取り組みへのニーズが高まってきています。富士吉田市では〈コミュニティカフェ〉や〈いきいきサロン〉と呼ばれており、合計で約30ほどの高齢者サロンが存在します。

現在はコロナの影響で活動休止となっているサロンが多いですが、 少し前にサロン活動へおじゃましたことがあります。今日はその時の「おばあちゃんに元気をもらった」というお話。

M-1グランプリよりも笑った日。

あるコミュニティカフェに見学に行った日のことです。その日は10名くらいのおばあちゃんたちが一緒に手芸を楽しんでいました。手芸の先生がいて、それぞれの得意不得意に合わせて作品づくりをサポートしていきます。僕はみなさんの創作活動を邪魔しないよう気をつけながら、いろいろとお話をさせていただきました。

なかには認知症のおばあちゃんもいて、その人に何度も自己紹介をする僕を面白がって、みんなでゲラゲラ笑ったりできるなごやかな雰囲気。そのおばあちゃんにとってその日の僕は、だれかの息子であり、孫であり、あるいは市役所の人でした。

作業もひと段落し、3時のおやつタイムに突入。参加メンバーの娘さんがつくってくれた美味しいマフィンを片手に団らん。そのあとは、認知症予防体操が始まりました。

右手が勝つように、今度は左手が勝つようにといった具合で、リズムに合わせて自分の両手を使ってじゃんけんをするというものでしたが、これがなかなか難しいんです(よかったらみなさんもやってみてください)。そんな苦戦中の僕を横目に、完璧にこなすおばあちゃんがいました。僕が何度も自己紹介をしていた、あの認知症のおばあちゃんです。

彼女は完璧にこなすばかりか、自分でリズムを変えたり、歌を入れてみたりと、アレンジさえ加えてしまう芸達者っぷり。真剣にミスをする僕を見て、「ふざけてないで、集中しなさいよ〜」とか「あんたは頭が弱いのねぇ〜」といった調子です。

認知症のおばあちゃんから認知症予防体操の手ほどきを受けている、至って健康な29歳の若者。この矛盾感がだんだん可笑しくなってきて、笑いがこみ上げてきました。おばあちゃんも、「この体操がそんなに楽しいんか〜。一緒に遊べて私も楽しいわぁ〜」とさらにテンションUP。最後には涙が出るほどお腹を抱えて笑ってしまいました。とても幸せを感じた時間でした。

おばあちゃんが手作りした貝(これはアサリ)のお守り。

2枚貝は重なり合う貝が世の中に1つしかないことから、縁結びに効果があると考えられているみたいです。

まだ独身だと伝えると、かわいそうだからとプレゼントしてくれました。

高齢者福祉というと、助けてあげる、支援してあげるといった、どちからというとこちらが与える側という構図になってしまいがちですが、実は僕らが気がついていないだけで、世のおばあちゃんたちはすごい力を秘めているのかもしれません。

だれかを元気にしたり、

一緒にいると落ち着いたり、

なにかとチャーミングだったり、

M-1の決勝戦よりも笑いを生みだせたり。

まだまだ発掘しきれていない、可能性や魅力がたくさんあるような気がします。

そんなおばあちゃんたちのパワーをもっと世の中に届けていくことはできないか。

福祉へのそんなアプローチがあってもいいんじゃないかな、と思いました。

ネタばらし:

認知症のおばあちゃんがなぜあんなに完璧に体操ができたのか。今回のコミニティカフェの会場は介護サービス事業所だったんです。で、このおばあちゃんは利用者さんでほとんど毎日介護サービスを利用している。その介護サービスの中で認知症体操を頻繁に行っているうちに体が覚えてしまったというからくりでした。

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上田 潤

富士吉田市地域おこし協力隊

山梨県南アルプス市出身。大学進学を機に上京した後、数社のジョブホップを経て2020年10月から〈富士吉田市地域おこし協力隊〉に。
これまで〈星野リゾート〉でサービスマネージャー、岡山の倉敷美観地区に拠点を置くローカルベンチャーで地域商社事業部の立ち上げや人事を経験。協力隊着任前は、キャンプ場や研修施設を運営する会社で山中湖の施設のマネージャーを担当。そこで開かれたイベントで、富士吉田市で活動する人たちと出会い、「富士吉田の人と地域」に魅力を感じ現在に至る。
地域の人と人との関わりが拡がるようなコミニティデサインの構築を目指し、地域福祉や飲み屋街の活性化、アキナイ創りなど、好奇心旺盛に富士吉田市の可能性を感じる毎日。地域に眠っている「ネタ」を事業の「タネ」と前向きに捉え、地域を面白がるガキ大将。

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