高齢者の生活支援〈じばサポ〉。
現状の福祉制度や民間サービスではまかないきれない、身近に、気軽に頼れる人がいない「高齢者の生活の困りごと」をサポートする活動です。
この活動を始めてから、1年が経ちました。
2022年7月12日、支援の実施回数は100回目を記録しました。
活動を通して、世の中には本当にいろいろな暮らしがあって、人それぞれ、様々な生きづらさを抱えながら、必死に生きているということを
日々実感しています。
先日、あるおじいちゃんから「入れ歯を探してほしい」という依頼がありました。
訪ねてみると、家の中にものが散乱していて、ゴミとネズミの糞だらけ。
入れ歯を探すだけと思っていた僕は、少し面食らってしまいました。
そんな僕を見て、「すまんな兄ちゃん、身体が動かねぇんだよ」とおじいちゃん。
この方は肺に疾患があり、酸素吸入器を使っての呼吸補助が必要でした。
立ち上がってトイレに行くだけでも、息苦しくなってしまうのだそうです。
ゴミを片付け、ものを整理すること2時間。
入れ歯が見つかってひと安心、2人で喜びました。
もし自分がこのおじいちゃんと同じ状況だったら、部屋をきれいに保てるだろうか。
片付けたくても自分ではできない、身近に頼れる人もいないというとき、なにを思うのか。
帰りの車のなかで、そんなことを考えていました。
後日、今度はおばあちゃんから「家の整理を手伝ってほしい」と要請がありました。
この方は、ご家族の事情で家を急遽引っ越さなければならなくなり、市営団地に入居。荷物整理の最中に転倒してしまい、入院。今は杖をついて歩くのがやっとで、荷物の整理はままならないという状態でした。
僕が初めて訪問した日は、このおばあちゃんの息子さんの命日だったそうです。
「ごちゃごちゃの家の中で心細かった私を心配して、息子があなたを連れてきてくれたのね」と。
それ以降は週に一度のペースで訪問し、お家の整理を手伝っています。
同じまちのなかに、いろんな暮らしがある。
近所に住んでいる人や、スーパーですれ違うあの人も、様々な悩みや不安を抱えながら生きている。
僕たちはつい、自分の生活のことで頭がいっぱいになってしまうけど、見えない暮らしがたくさんあることを、忘れないでいたいと思います。