近頃僕は毎週のように、〈宝島〉のばあちゃんたちとサッカーの試合応援に行っています。
〈FCふじざくら山梨〉という女子サッカーチームがあるのですが、地域交流の一環として、夏頃から〈宝島〉で月に一度、選手との交流会をおこなっています。
選手たちもごはんの準備から一緒に、和気あいあいと家族のように過ごしています。
選手の皆さんは県外出身者が多いということもあり、「宝島は富士吉田市の実家みたい」という声があったりして、なんだか嬉しいなぁと。事業を始めた当初は、まったく予想していなかった展開に、びっくりもしています。
ちなみにこの日は、「ハンバーグが食べたい」というリクエストにお答えして、富士吉田市のお母ちゃんたちは張り切っていました。
ちょうど自分の孫たちと同じ世代の女の子がたくさん来てくれて、嬉しかったのかな。おじさんへ片足を突っ込んでいる31歳の僕といるときより、ずいぶんイキイキとしているように見えました。
そうやって交流を深めていく中で、彼女たちが宝島一行を試合へ招待してくれました。
エスコートシニアと称して、一緒に入場まで。選手たちの本当のおじいちゃん、おばあちゃんも遠方から応援へ駆けつけていて、手をつないで一緒に歩く姿に、とてもあたたかさを感じました。
そして初めての試合観戦。
いわゆるイマドキの普通の女の子の部分しか知らなかった僕らは、ピッチ上の彼女たちをみてびっくりしました。
当たり前かもしれませんが、まさに闘う戦士。見たこともない真剣な表情で勝利へ向けて走ります。その姿に感化され、気がつけば僕らも応援に熱中していました。
ばあちゃんたち、女子サッカーの試合を見たのはみんな初めて。そもそも何人でやるのか、オフサイドなんてルールに至っては、まったくわかりません。
でも、可愛がっている女の子たちが頑張っている姿に、心を動かさずにはいられない。
「がんばれー!」「負けるなー!」「あぁー、惜しかった!」
選手の一挙手一投足に応援の眼差しを向け、喜んだり悔やんだりしながら共に戦います。
そんな応援の心が届いたのか、僕らが見に行った3試合全てで〈FCふじざくら山梨〉は勝利を飾っています。
今回のことで、僕はすごくよかったなと思っていることがあります。
それは、高齢者が地域のプレーヤーへ変化しつつあるということ。
選手たちの富士吉田市のおかあちゃんとして、〈FCふじざくら山梨〉を支えるサポーターの一員として、しっかりと役割を持った担い手になっている。そしてそれがお互いのエネルギーになるという循環が生まれている。
今まで交わることのなかった世界がつながると、こんなにおもしろいことも起こるんですね。
高齢者を支援の対象ではなく、地域を支えるプレーヤーに変えていく。
シニアの力を借りたまちづくりの可能性を模索していく。
〈宝島〉が目指す景色がまたひとつ、増えたような気がします。
さて、今度の試合応援もみんなで頑張ろう。