5月の富士吉田
5月に入ったすぐの日、カエルの声が遠くから響いてくるのが聞こえました。
今年ももう、田んぼに水が張られ始めているんだな、と心の中で思いました。
毎年、初夏くらいには、田んぼからカエルの大合唱が聞こえてきます。
夕方から夜にかけて、外にいると遠くからゲコゲコゲコ・・とカエルたちの声が響いて聞こえるのは、なんとも日本らしい、風情のある感じがします。
そして今月の富士山には、いよいよこの時期ならではの「農鳥」と呼ばれる鳥のマークがあらわれました。
雪解けの途中であらわれるもので、昔は田植えの時期の合図だったという「農鳥」のかたちは、ちょっとアヒルみたいでユーモラス。
毎年見られると分かっているけれど、また今年もこの鳥マークを見つけると、なんだか嬉しくなります。
気温が低い日が続くと、ふたたび富士山のてっぺんには雪がつもり、農鳥も雪に埋もれて見えなくなってしまいましたが、こうして寒くなったり暑くなったりしながらも、着実に季節が春から夏へと向かっているのを感じます。
庭では、5月に入るとすぐに可愛いすずらんの花が咲き始めました。
小さくて清楚で、すずやかな真っ白のすずらん。
その後を追うように、シランの花が咲きました。
はっとするようなムラサキの深い色と、ちょっとフリルみたいな部分がとても可憐です。
そして芍薬の花も咲き始めました。
芍薬の花は、お花屋さんでもちょうどお店に並んでいて、大好きなお花です。
今だからこそ出会えるお花たちのおかげで、今このときが愛おしい時間だということを思い出させてくれます。
お花が咲く季節って、やっぱり楽しいなと、喜びをじわじわと感じました。
庭のハーブたちも、どんどんと生き生きしてきました。
毎年育ってくれるセージは、ちょうどお花を咲かせています。
こんな綺麗なムラサキ色のお花です。
越冬してくれたセントジョーンズワートもどんどんと葉をつけています。
お花が咲くのが今から楽しみです。
こちらも越冬したマロウブルー(のはず)は、大きな葉っぱがどんどん増えています。
こんなに大きくなるんだ、と驚いています。
昨年はお花がつかなかったので、今年は咲いてくれたら嬉しいです。
お花で草木染めがしたいなと思っています。
ハーブたちがぐんぐんと元気に育ってくれるこの季節は、見ている私までつられて元気が湧いてくる、大好きな季節です。
5月の草木染め
何年か前に苗を植えてからは、毎年越冬してくれているオレガノ。今年は気づいたら、たくさんたくさん増えていました。
ほかのハーブたちのために場所を確保するためにも、オレガノを一部収穫することに。
フレッシュなオレガノにお湯を注いでハーブティーにして飲んだり、こまかく刻んで、塩と一緒に瓶に入れオレガノのハーブソルトをつくったり。
そして、まとまった量のオレガノがあるので、葉や茎を煮出して、ハーブ染めをすることにしました。
以前、シルクのストールをオレガノで染めてみたことはあったのですが、リネンは染めたことがなかったので、手元にあったリネンの生地からちいさな巾着を縫って、染めてみることにしました。
ちなみに、ギリシア語で「喜びをもたらす山」「山の喜び」という意味をもつオレガノ。
山が新緑でいきいきとしてかがやく、今の季節にぴったりだなと思います。
オレガノの花言葉は、「あなたの苦痛を除きます」という言葉だそうですが、実際の効能としても、鎮静と殺菌作用、精神の安定のサポートをしてくれます。
具体的には・・
●心身に強壮作用をもたらす:心身の疲労回復を助けてストレスを緩和
●神経の痛みを緩和し、神経そのものの疲れを癒す:頭痛や歯痛の痛みを和らげたり、胃腸が過敏なときには高ぶりを鎮める
●気管を整え、咳や風邪を鎮静する
素晴らしい効能をもつ、叡智あるハーブです。
収穫したオレガノたちを、お鍋で煮出していきます。
オレガノのハーブティーと同じ香りがたちこめてきます。
お腹がすいてくるような、なんだか消化に良さそうな香りです。
煮出していくと、だんだんと色が出てきました。
リネンの巾着を染めるための下処理をしてから、オレガノの染液のなかで染めていきます。
そして鉱物の力を借りて、色を定着させる媒染という工程を経て、よく水洗いしたら完成です。
黄色と黄緑のあいだのような、
見ていると不思議と心が落ち着くような色になりました。
オレガノのいのちの色です。
今年の初夏も、ハーブたちと仲良く過ごして、色を染めていきたいなと思います。