12月の富士吉田
富士吉田に住むようになってから、12月でちょうど丸8年が経ちました。
8年前の今頃、はじめての富士吉田の冬を迎え、はじめての運転、はじめての仕事、はじめて出会う人たち…新しい環境にめまぐるしく突入していったことを思い出します。
同じ季節が巡ってきて、8年という年月が経ったことがなんだか感慨深くて。いろんなことを経て、今があることに感謝の念を感じます。
そんな8年間の経験の記憶を思い起こすと、その間の富士吉田では大抵12月には冬らしく寒くなって、よく11月や12月に一度くらい雪が降ったりしたものでした。
今年は、ずっと暖かい日が続いていたので、富士山の雪も増えたかと思うと解けたりしていましたが、12月の中旬になると寒波がやってきて、いつもの富士吉田らしい寒さの12月になりました。
これから来年にかけて、どれくらい寒くなるのでしょうか。
そんな12月に、私はやっと畑の藍のたねとりをしました。
夏に葉っぱから綺麗な色を見せてくれた藍たちは、秋になると花を咲かせて、その後に種をつけていました。
この花穂の茶色の薄皮のなかに、藍の黒光りした小さな種が入っています。ゴマくらいに小さい種です。
もう毎年たねとりを繰り返して、何年目になったでしょうか。3年目を越したあたりからは細かく数えていないのですが、すっかり富士吉田の大地に馴染んでくれた藍たち。
この種を、冬が明けた春にいつもたねまきするのですが、ほぼ100%の発芽率で芽を出してくれます。藍たちは生命力が抜群です。
たったひとつぶの種から、たくさんの葉をつけ、花を咲かせ、季節の終わりにはたくさんの種をつけていく。自分でたねとりをしていると、はじまりと終わりを体験するのですが、最初に1つだったものが終わりにはどんどん増えていく、ゆたかになるしかない自然の摂理に驚きます。
今まで藍は自分で染めるばかりだったけれど、今年は草木染め講座の中で、参加者の皆さんと染めることができたのが新しい体験でした。藍たちも、皆さんに喜んでもらえて誇らしかったでしょう。
また来年も、美しい藍の青い色を、誰かと喜びあえますように。そう願いながら、収穫した種は、春までとっておきます。藍との日々は、また来年。
畑のほかのハーブたちは、まだなんとか元気だったので、ついでに少し収穫をしました。
ローズゼラニウム、カレンデュラ、レモンバーベナ、ラベンダーの葉っぱ。
ちょっと摘んで、すーっと深呼吸するだけで、その香りに一瞬で癒されます。
春に、苗を買って畑に植えたところからはじまって、いよいよ1年が終わります。
春や夏はただただ目の前のことに夢中で、冬のことなど考えないけれど、こうして必ず冬には一度区切りがやってくる。
終わりゆく畑を見ながら、ちょっと我にかえったように、できたことを思い返したり、もっとハーブとの暮らしを楽しめたかもしれない、などなど反省も含めていろいろと振り返ったりするのでした。
さて時期が遡りますが、11月末には、明見湖のはす池体験工房をお借りして、草木染めのワークショップを開催しました。
7月から10月までは、河口湖の中央公民館での生涯学習講座としての草木染め講座をさせていただきましたが、これからは自分で開催してみようという試みです。
今回は、3名参加してくださり、河口湖で育ったクロモジの枝を皆さんと染めていきました。
クロモジは、日本固有の香木で、茶道で使う楊枝として使われたりしています。もともとのクロモジの楊枝は、江戸時代に武士の副業としてはじめられたものだそうです。
抗菌効果が強く、昔の人はハブラシの代わりに使うこともあったそう。
そんなクロモジは、煮出していると、甘くさわやかな香りが漂ってきます。
実際にこの香りにはリラックス効果があり、不眠を和らげてくれたり、自律神経を整えてくれたりするそうです。
年末に向けて、なんとなく気ぜわしくなってくる季節に、ちょうどいい香りだと思いました。
クロモジの香りのお風呂に入りたくなるようないい香りです。それこそ、煮出してできたものを入浴剤として使ってみるのも良さそうです。
今回は、輪ゴムを使った絞り染めも体験していただきました。
染まるところと染まらないところができるので、模様のようになります。
皆さんそれぞれに違う模様が染まり上がりました。
植物の色との出会いを、こうして一緒に楽しんでもらえることができてとても嬉しいですし、染め終わったあとに、お茶を飲みながら少しお話できたことも嬉しい時間でした。
こうしたワークショップは、これからも開催していこうと思っているので、その一歩をはじめることができました。
2024年も、草木の色を楽しんでいけたらいいなと思います。