6 月の富士吉田
6月になって、果物屋さんの前を通るたびに、目をやり、そわそわしていました。
なぜかというと、梅干しにするのに最適な梅が、店先に並びはじめるからです。
紫蘇もいれない白梅干しを、はじめて作ってみたのは2年前でした。
そのときは初めてだったのでドキドキしながらでしたが、ごく少量で作ってみたところ、なんとかおいしい梅干しになり、「梅干しづくりって、難しくないんだ」と思ったのを覚えています。
そして昨年は、ジップロックを使った簡単なレシピを見つけたおかげで、昨年よりも楽しんでつくることができ、すっかり梅干しづくりが好きになりました。
添加物の入っていないシンプルな白梅干しは、そもそもスーパーに売っていなかったり、売っていたとしても、数粒だけでものすごく高価だったりしますが、自分でつくれば、必要なのは塩と梅だけでそんなに高くないし、塩の種類も、量も自分で選べる。
梅の出回る今の時期に、梅仕事に多少の時間と気持ちをかけてあげることができたら、それからの1年はずっとおいしい梅を食べられます。
梅は、私の持っている漢方ごはんの本によると、酸味によって唾液の分泌を促して、食欲を増進してくれたり、潤い不足による喉の渇きを癒してくれたり、胃腸の働きを整えてくれるそうです。
また、「食べる日焼け止め」といわれるほど、ビタミンやミネラルが豊富だそうです。
夏バテや日焼けの夏にぴったりです。
そんな待ち遠しかった梅干しの仕込みシーズンがいよいよ到来です。
ということで、はりきって果物屋さんに出かけました。
いつもはスーパーで買い物をするけれど、梅のためには果物屋さんに行きます。
お店のおじさんに「何がほしいの?」と聞かれ、「梅干しをつくりたいんです」と話すと、おすすめの梅の種類を教えてくれたり、梅の処理の仕方を教えてくれたり。
こういったやり取りができるのが、なんだかうれしいし、安心します。
お家に帰り、まだ青い梅を、段ボールにあけて、数日かけて熟してくるのを待ちます。
だんだん黄色になって、いい香りが立ちのぼってきます。
ジップロックで梅干しを仕込んだ後は、一日に何度か、梅をひっくり返して様子を見ます。
梅雨があけたら、天日に干して完成なので、今はしばらく梅雨が明けるのを待ちます。
やってみると全然難しくないけれど、梅自体が今の時期しか手に入らないので、1年のうちこの季節にしかできない、大切で貴重な手仕事です。
6月のハーブ
6月といえば夏至。
夏至は、太陽が一番長い日。陽の気が満ちて、ハーブの効能が高まっているときといわれます。
そんな夏至に向かって、ハーブはもりもりと育っていました。
今月はそのなかでも一番元気な、レモンバームの葉っぱを摘んで、色を染めてみました。
レモンバームは、古代ギリシャの時代から、長寿のハーブとして大切にされてきたメディカルハーブ。
神経にはたらきかけて、気持ちを落ち着けたり、ストレスによる不調を緩和してくれたり。脳機能を健やかに維持する効果があったり、
抗菌・抗ウイルス作用や鎮静効果があったり、消化を良くしてくれたりと、たくさんの恵みを人間にも分けてくれます。
そんな効能をいただこうと思って、ハーブティーとしてよく飲んでいます。
そんなレモンバームの葉っぱを摘んで、煮だして、染めていきました。
こするとレモンの香りがする、レモンバームの葉は、緑色だけど、じっくり染めたら、深い落ち着きのあるブラウンの色があらわれました。
古代からの叡智を感じさせてくれるような、レモンバームの色。
短い夏の間は、ハーブと楽しく過ごせる貴重な季節。
大切に過ごしたいと思います。