藤崎 仁美

2026.01.31

草木とともにあるくらし 46

 

1月のくらし

2026年がはじまりました。

今年は元旦に綺麗な富士山が見られました。
元旦の富士山は、まわりに雲一つもなく、堂々としていて、天晴な姿。

こうして美しい富士山を見て、穏やかなお正月を迎えられることにありがたみを感じます。

お正月には、近所の氏神様にはすぐお参りしましたが、富士五湖の大きな神社は年始はとても込み合うので、しばらく経って落ち着いた頃に、いくつかの神社へ参拝してきました。

この北口本宮冨士浅間神社も、この日は人が少なく、とても気持ち良い空気で満ちていました。
この参道の鳥居が見えてくる景色はいつも変わらず、これまでに訪れた時の記憶がふとよみがえってくるようで、不思議な気分でした。

私だけでなく、きっと無数の人が、やっとここへたどり着けたという期待感やよろこびを感じていたんだろうなと思ったり。

冷たい水に触れて、はっとしたり。
いつもよりもこの龍神さまの目やうろこ、手に持つ玉が気になったり。

境内の、もともと鎮座されている諏訪神社にもかならずお参りしています。
厳かな雰囲気と、この地と諏訪のご縁にもなにかを感じる場所です。

とても気持ちの良い日だったので、河口湖の神社へもお参りをしました。
こちらは大好きな河口浅間神社です。

今も昔も、人を迎え入れてきたその佇まいを感じます。

こうして人があまりいない日には一層空気が凛として、平安時代やいろんな時代から現代と時空が重なるような、かつての人々がいつか来た道を歩いて、本殿へ向かっているような気分になります。

こもれびが綺麗な日でした。山梨の地酒とともに。

この景色に身をおいていると、心も体もリフレッシュして穏やかになれるような気がします。
しばらく、大きな木たちとともに、ただ心地よいのを感じて過ごしました。

1月になってから、12月までの疲れが出たりして、年末まで意外と自分なりに頑張っていたんだなぁと思うこともあって、休息を多めに過ごしていました。
一生懸命、頭や目を使って疲労していたので、頭を使わずぽかんと過ごす時間を増やしつつ、身の回りの整理や断捨離をしていました。

本当は年内に断捨離し終えていたらよかったのですが、ちょっと間に合わなかったので、
2月4日の立春をすっきりした気持ちで迎えようと決めて、1月はどんどん余白を増やしていく時期にしました。

こうして断捨離しながら、空気を入れ替えるときに使い始めたのはホワイトセージです。
以前、自分でホワイトセージを育てていて、少しずつ収穫しては乾燥してためていたのですが、なんとなく煙が得意ではないと思って、使わずにしまいこんでいました。

実際、動物は山火事などの危険に対しての本能から煙が基本的に苦手だそうなので、私もなんとなく苦手だと感じたのは動物的な本能だったのかなと思います。
そう思えれば大した問題でもなく、それよりも植物の叡智を生活で味わってみたいので、せっかく手元にあるのだからと使うことにしました。

ネイティブアメリカンの人たちが浄化のために使ってきたというホワイトセージ。
私も何年も前にアメリカのニューメキシコ州に一人旅をしたとき、現地の収穫したばかりのセージが束になっているものを買った思い出があります。

ニューメキシコ州は、私も訪れたプエブロ族の居留地もあり、ネイティブアメリカンの文化が濃く残っている場所だったので、ホワイトセージの産地となっていることも関係あったんだなぁとあとから思いました。

当時は、購入した生の(乾燥しつつある)セージの香りが強力すぎて、火もつけていないのに部屋においてあるだけで頭も痛くなってきて、あわてて袋にしまった思い出も。

それもあってセージが苦手なのかと思っていましたが、一枚ずつ使うくらいなら今は大丈夫だったので、片付けしながらどんどん使っています。
植物のサポートを昔から人が大切にしてきたことってすごいなぁと感じます。

よく燃える日があったり、すぐ消える日もあったり。煙の動きが面白かったり。
火も煙も、本能的には怖いけれど、でもそれだけに浄化ともなるものなのだと思います。

日本でも、奈良の東大寺のお水取りのように火で浄化したり、護摩を焚いたり、もちろん吉田の火祭りも、火での浄化は世界でも根源的な風習なのでしょう。

ほかには、片付けをしながら、数年前から染めてきた草木染めの布の整理もしていました。

そのなかでも、シルクの布をあつめて箱につめていたら、その色が集まった様子がとても綺麗でした。

色は、ほかの色と出会うと、個性を引き立てあったり、違った魅力を引き出したりする。
そうして、たがいをかけがえのないものにするのだな、と見ていて思いました。

それはきっと、いのち共通で、人も同じなのかもしれません。
他者がいてくれるから、違いにも気づくし、欠けているから協力しあえる。

数年前に染めた布の断片たちが、こうして一堂に箱のなかにおさまって調和しているのを見ると、なんだかほっこりした気持ちになりました。

1月の草木染め

冬のあいだは、講座やワークショップはお休みしていますが、私自身は年始から染めを始めました。

一番最初に染めていたのは、ご依頼をいただいて昨年から染め重ねて色を育てている、柿渋染め。
いにしえの知恵の一つの柿渋は、シンプルだけど奥が深くて、月日もかかるもの。

素敵な色に育っていくようにと願いながら引き続き染めています。

ほかには、クロモジの枝染めも。
こちらは試し染めのために枝から色を出していきました。

クロモジは煮だしている間、本当にさわやかでいい香り。
リラックスしながらも、頭がクリアになるような香りのなか染められるのはクロモジならではです。

ほかには、昨年収穫して大切にとってあったクサギの実たち。

青系の色味を染められる植物はとても少なく、藍のほかにはこのクサギの実があります。
クサギは臭木と漢字で書かれ、たしかに独特な香りのする植物です。

収穫して実感するのが、実を集めることの大変さ。
とても大切なので少しだけ量を使って試作染めをしました。

クサギの実は煮だしていると、鍋のなかでは、どんどん緑がかったような青い色が現れて、あぶくとともに渦が巻いて、ちいさな地球かのような神秘的な様子が見られます。
いつもつい、じっくりと眺めてしまうものです。

どの植物の魅力も違っていて、どれも素敵で、その色を染められるのは喜ばしいことだなと改めて感じます。

とくに1月は、頭の動きよりも、リラックスして感じることを優先していたので、植物の色や香りも、普段以上にたくさん受け取ることができたように感じます。

きっとそれは良い今年のスタートになったのではないかなと思っています。

そんなわたしの1月でした。

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藤崎 仁美

〈いのちの草木染め〉主宰

出身地
愛知県名古屋市

プロフィール
大学在学中、〈フジファブリック〉のイベントのために、はじめて富士吉田へ訪れる。卒業後は愛知県のエンジニアリング会社で総務・NX(3DCAD)の講師を務める。そのころ、仕事のかたわら週末に京都の学校に半年間通い、草木染めや手織りを体験。染織や自然と親しむ暮らしがしたいと思うようになる。
2015年、〈宮下織物株式会社〉へ入社するために富士吉田市へ移住。未経験から、ジャカード織物の機織り職人として6年間勤務し、2022年春に退職。
富士吉田に移住してからは、ハーブを育てたり草木染めをする暮らしを楽しむ。
2023年から〈いのちの草木染め〉として、草木染めワークショップや基礎講座を開催するほか、作品制作、出張ワークショップなども行っている。

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