今から少し前、富士北麓に秋が来ました。
他の地域よりひと足早く紅葉した富士吉田。
よく晴れた日の風が吹く午後、森を歩くと黄金色の雨が降るのをご存知ですか。
その正体は『カラマツ』の落ち葉。
日本に自生する針葉樹のうち、唯一冬に葉を落とす落葉針葉樹のカラマツ。
ちなみに松の仲間のクロマツやアカマツは常緑樹です。
カラマツは日本の固有種であり、天然林は長野県を中心に標高の高い土地に多くみられます。
富士山もそのひとつで、見上げるとたくさんの大きなカラマツを目にすることができます。
カラマツは、植物にとって厳しい環境の痩せた土地や火山地にもパイオニアとなって林をつくるたくましい樹木。
富士山の溶岩質の大地にも立派に根を下ろします。
今日はそんなカラマツのとっておきの楽しみ方をご紹介します。
4月の初め頃、新芽が芽吹くカラマツをぜひ探してみてください。
ちいさな若葉が噴水のように、いやパイナップルでブラシのようになっています(?)
この噴き出る生命力が、まだ冬が色濃く残る森には眩しすぎます。
目覚めるような新緑で、他の生物に春を知らせるアラームのような存在にも思えてきます。
カラマツブラシは桜よりも楽しみな春の風物詩です。
ちなみに1、2週間もするとすぐ大きくなります。
柔らかく、えぐみのない新芽は焼き菓子や琥珀糖に入れてもきっとおいしい。
もし春にカラマツを見かけたら、触ったり嗅いだり食べたりして楽しみましょう。
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茂っていた下草や木の葉が落ちて、森の視界がぐんと広がる秋にはいつも気になってしまうことが1つ。
それは、ポイ捨てされたたくさんのごみ。
このままでは悲しいです。
今年も友人に協力を仰ぎ、よく入る森の周りのごみ拾いをしました。
道路脇には信じられないほど捨てられていて、ブツブツ文句を言いながら拾うこと10分。
そうです、たったの10分でこんなにもごみが集まるのです。
森全体からすればほんの少し。
だけど間違いなくきれいになった森で、すこし誇らしい気持ちになりながらみんなで散策をしました。
散策ついでに落葉し枝と冬芽だけになったクロモジを手で収穫。
植物は、ちぎられたり踏まれたりするのには慣れていても、刃物で切られることには慣れておらずその後の回復に差があるという話を聞きました。
混み合った枝を整えるように自然の恵みをいただきます。
散策を終えてクロモジ片手に向かうは、大きな森林公園。
摘みたてのフレッシュなクロモジ茶を友人達に振舞うと、すっきりとした香りを気に入ってくれました。
お茶で温まった後は、陽だまりと冷たい風が交差する木の下でお絵描きを楽しみました。
いつも綺麗に手入れされている芝生は、来るたびに気持ちよく迎えてくれます。管理している方も親切で大好きな公園です。
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さて、秋といえば思い浮かぶ食べ物が沢山ありますね。
先日長野県に行った際、山間部で植物探検しているとたくさんの山栗が落ちていました。
見たところ、木から落ちてそんなに日数が経っていない様子。
穴が開いていないか入念にチェックして栗拾いをしました。
訪ねた先で「そんなに栗が好きなのか」と市販の栗をプレゼントしてもらい、せっかくなので2種の食べ比べをすることにしました。
比べるなら栗の種類以外は同じ条件で。
茹でた実を取り出して、同じ分量の砂糖と牛乳でそれぞれペーストをつくりました。
山栗は市販の栗より二回りほど小さく、ほじくるのも一苦労。
保存中に見分けがつくよう片方は粗挽き、もう一方はなめらかに漉します。
粗挽きが山栗。つぶつぶした食感が楽しい。
作りたてのペーストを味見すると、市販の栗は香りが良く味は淡白でした。
対する山栗は、香りは劣るものの栗の味が濃く美味しい。
よかった、食べ比べをする意味があったようです。
クッキーを焼いてディップ方式でチームのみんなにも食べ比べしてもらいました。
トッピングにはカカオニブと原野で拾った鬼ぐるみ。
あえてどちらが山栗か言わずにクイズにしてわいわい言いながら食べました。
私が感じた特徴を伝えていざ結果発表。見事にほぼ全員が山栗を当てました。すごい!
今回の気づきは、2種類の栗をブレンドして使うことで香りと味のいいところを引き立ててより美味しく食べられそうだということ。
余談ですが、栗にはクリシギゾウムシという虫がつくことがあります。
これは未熟な実の時期に栗の中に卵を産みつけて栗を食べて成長し、硬い殻を食い破って外に出ます。
穴が空いた栗は虫が中に入った時のものではなく、出てきた時にできたものなんですね。知りませんでした。
ちなみにこの虫、栗を食べて育ったので虫自体も栗の味がして昆虫食として注目されているそうです。
あ、私はちょっと食べられませんでした。
▼おまけ
使っているオイルパステル
『Faber Castell(ファーバーカステル)36色』
硬めのテクスチャーで原色が多いです。