こんにちは、ご無沙汰しています。
寒さを乗り越えた植物たちが、走り出すように活動的になる春。
置いていかれないように森を駆け回っていたら、気がつけばもう6月になっていました。
春を知らせる檀香梅(ダンコウバイ)が黄色く咲いたと思ったら、そこかしこに眩しい新芽がふくらみ、10m先まで見えていた視界も生い茂る葉に遮られ、今では目の前をかき分けるようにして進まなければいけないほどです。
日ごとに小さく姿を変える森で、毎日新鮮な発見を重ねながら過ごしていました。
(シャキシャキでおいしいツルマンネングサ)
目まぐるしく移ろう季節の中で、短い旬の味わいを楽しまずにはいられません。
自分で森から調達した山菜やキノコ、初めて食べてみた希少な素材や、プロの料理人が作ってくれたおいしい季節の料理。
ここ1〜2ヶ月の食事を思い出しながら、前編後編に分けてたっぷりご紹介します!
以前、春といえばカラマツの新芽がかわいい、と言う話を取り上げさせていただいたことがあります。(参照:森ミネ2)
そんなカラマツの新芽をジェノベーゼ風にして食べてみました。
カラマツは、日本に自生する針葉樹のなかで唯一の落葉樹です。秋に葉を落として、枝だけの姿で冬を越します。
芽吹きたての新芽は柔らかく、そのままでも十分おいしいのですが、植物ラバーな友人から教えてもらったレシピでペースト状に。
たっぷりのチーズを振りかけて、パスタに絡め、仕上げに山椒木の芽やカキドオシ、ウコギなどを素揚げにしてトッピング。
サクサクの素揚げをくずしながら食べると、バジルに負けないくらいの香り高さにおどろき!
新芽特有のキュッとした柔らかい酸味が、油っぽさを軽くしてくれて最高においしかったです。
別の日、両親が山梨に遊びにきてくれた日には、一緒に森でforagingを楽しみました。
お供には山椒木の芽おにぎり!
ノーマルと梅味の2種類で手軽にお昼を済ませて、夕飯のために自分たちで食材を調達。
夜は、山菜の天ぷら&しゃぶしゃぶパーティーをしました。
ラインナップは、茹でたコゴミにハンゴンソウの胡麻和え、野生のホップやタラの芽など8種類ほどの天ぷら。さらに山椒やクロモジの新芽のしゃぶしゃぶまで。
「これはこういう植物で、こんなところに生えていて」とつい話したくなる気持ちを抑えながら食べ方を説明し、自由に食べてもらいました。
なかなかこれだけの品種を食べ比べする機会はないので、とても楽しんでくれていました。
個人的に豚肉には山椒木の芽とクロモジの新芽が間違いない組み合わせでした。軽くゆがいた木の芽をたっぷりお肉で巻いて、一口で頬張ると幸せそのもの。
牛肉にウコギのほろ苦い香りを合わせるのも大人な味わいでとても好みでした。
北富士演習場で摘んできたハンゴンソウは胡麻和えで。春菊のような馴染みのある味わいで、副菜にあると嬉しい一品です。
漢字で書くと「反魂草」と、少しメッセージ性の強い名前。気になる方はぜひ由来を調べてみてください。
こちらも初めましての素材、ヒトリシズカの新芽です。
詩的な名前でこちらも由来がおもしろいのですが、ひとまず味の感想を。
薄めの衣で揚げてみると、食感は柔らかくサクサクで繊維が口に残りません。山菜によくある苦みやアクもなく、非常に食べやすかったです。
思いのほか、繊細な味わいだったので個性を楽しむなら、おひたしなどの調理法がおすすめです。
こちらは、ある植物の新芽です。
何だかわかった方は鋭いですね。
ヒントは産毛と、新芽でもこれだけ大きいサイズ感。
正解は、朴の木の葉っぱ、朴葉(ホオバ)です!
本来背の高い木ですが、手に届くところに新芽があったので試しに持って帰ってきました。
肉厚で毛も生えていて、どう食べようかしらと悩みましたが無難に天ぷらでGO!
ひと口かじると、コブシの葉のようなフローラルな香りが広がり、少し驚きましたが
「あ、そうか。朴の木もコブシも同じモクレン科だ!」と思い出し、納得。
これはあまり期待してなかった分、予想以上に美味しかったです。
肉厚な葉の食感が他の山菜にはない独特なもので、食べ応えがありgood。ちなみに、産毛は意外と気になりませんでした。
秋に落葉した朴葉を取っておいて、朴葉新芽を刻んだ味噌とその枯れ朴葉で香ばしく焼いた、「ダブル朴葉味噌」も試してみたいところ。
といってももうシーズンは過ぎたので、試せるのはまた来年。長い長い春までの道のり…!
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と、途中ですが前編はここまで。
こうやって思い出しながら書き起こしていると、皆さんはこの春、どんなご馳走を食べたのか気になってきます。
後編は、初めて自分で採ったキノコを使った料理や、料理人の方が手がけた春のご馳走を紹介します!
ではまた次回、お楽しみに!