FUJIYOSHIDA DIARY MAGAZINE

土地・環境

藤崎 仁美

2022.11.23

草木とともにあるくらし 08

11月の富士吉田

寒暖差がはげしくなって、すっかり秋になった富士吉田。

まわりの山々は、少しずつ色づいてきました。

燃えるように紅葉して、枯れ葉が風に舞って土へ還り、本格的な長い冬を迎えるまでの、一番美しい季節です。

富士吉田では、紅葉の観光スポットでなくても、町のいたるところが紅葉しているので、生活しているだけでも景色が綺麗です。

少し車で行けば、林のある公園もあります。

先日は林の中に立って、しばらく紅葉した木々の景色を味わっていました。

これまでは「枯葉」というと、さまざまな曲や物語から受けたイメージもあってか、散っていくのが寂しい、というイメージが漠然とありました。

でも、葉っぱが枝から離れ、ゆっくりと舞っていき、カサ、と土へたどり着く。その様子を林の中でぼんやりと見つめていたら、それは、ただただ、とても美しい光景で。

土へ還ることは喜ばしいこと、春に芽吹くこともまた喜ばしいことだなぁ、と季節がめぐる“循環の神秘”に想いを馳せたりしました。

冬になると、このあたりでは景色から色彩がなくなるので、今だけの美しい鮮やかな色たちをこころにいっぱい吸い込んで、味わっています。

11月の草木染め

この時期になると、空地や道端に元気に生えている、黄色のお花。

セイタカアワダチソウという植物です。ふわふわの黄色のお花が、紅葉の景色のなかで一緒に咲く姿は、とても綺麗。

この植物は、花粉症の原因のひとつのブタクサと間違われたことから、花粉症のもとだと誤解されたり、空地にたくさん生えることから、あまり人気があるとは言えませんが、実は、北米からやってきたハーブ。

お花の部分に体の毒素を排出する効果があり、入浴剤として使うことで、皮膚炎やアトピーにも効果があるとされています。

また、セイタカアワダチソウは花粉症のもとになる植物ではなく、蜜源植物(みつげん しょくぶつ)として、いろんな虫たちに蜜を与えている植物です。

だんだん植物が枯れ始めてお花も少なくなるこの時期に、虫たちが越冬するために貴重な蜜をたくわえているお花です。

今月は、そんなセイタカアワダチソウを染めてみることにしました。

虫があまりついていないお花を摘んで、煮だしていきます。

先月、富士吉田で開催された〈ハタオリマチフェスティバル〉に行って、コットンウールのはぎれの布を買っていたので、その布を染めてみることにしました。

煮だしていくと、染液は、こんな色に。

ちなみに、煮ているとなんだか春菊をゆでたときのような香りがします。

染液が準備できたら、布を動かしながら、じっくり染めていきました。

セイタカアワダチソウに感謝しながら、色に出会えるのを楽しみにしながら、じっくりと染めていくと、こんな色になってくれました。

紅葉しているイチョウの葉っぱたちみたいな、明るい黄色です。

この染めた布を今度は縫って、首をあたためるスヌードをつくることにしました。

布の表と裏で染まった色が違ったので、より発色の綺麗なほうを表にして縫っていきます。

一回ねじれるように縫ったら、完成です。

紅葉のなかで調和するような、セイタカアワダチソウのスヌードができました。

コットンウールが肌触り良く、あたたかいです。

元気な黄色を分けてくれたセイタカアワダチソウ。

道などで見かけるたびに、あの色をもっている植物なんだなぁ、と

以前にもまして親近感が湧くようになりました。

住んでいる土地の植物から色をもらえるのは、やっぱり嬉しいなと思いました。

これからますます寒くなる富士北麓ですが、今年の冬は、セイタカアワダチソウの色と一緒に過ごせるのが楽しみです。

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藤崎 仁美

1989年名古屋市生まれ。大学ではフランス語を専攻。大学在学中、〈フジファブリック〉のイベントのために、はじめて富士吉田へ訪れる。卒業後は愛知県のエンジニアリング会社で総務を経て、社内異動によりNX(3DCAD)の講師を務める。
そのころ、仕事のかたわらで週末京都の学校に半年間通い、草木染めや手織りを体験。染織や自然と親しむ暮らしがしたいと思うようになる。そして、2015年、〈宮下織物株式会社〉へ入社するために富士吉田市へ移住。未経験から、ジャカード織物の機織り職人として6年間勤務し、2022年春に退職。
現在は、染料植物を育てて草木染めをしたり、植物と親しむ暮らしを楽しんでいる。

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