FUJIYOSHIDA DIARY MAGAZINE

土地・環境

藤崎 仁美

2022.12.24

草木とともにあるくらし 09

12月の富士吉田

12月に入り、朝晩は氷点下の気温になるのが当たり前になってきました。寒すぎると水道管も凍ってしまうので、夜には凍結防止のために水道の水を流したままにします。

この、夜寝る前に水道を流しておく作業と、朝起きたときの張り詰めた冷たい空気に、「あぁ富士吉田の冬だ」と気持ちが引き締まります。

少し前まで色づいていた山はすっかり葉を落とし、常緑樹だけが緑色をしています。

道端の花も枯れ、少しずつ季節のうつろいを感じます。

道端で植物に出会うのが好きな私にとっては、植物が枯れていく冬は、すこし寂しくなる季節です。

木々もとても静かで、ひっそりと身をひそめているよう。きっと、太陽の力が一番弱まる冬至のある12月だから、エネルギーを内側に蓄えているのかもしれません。

そんな冬のなか、知人からうれしいおすそ分けをいただきました。

それは、ゆず。

元気の出る、明るい色がまぶしいです。

山梨県の富士川町の、無農薬の〈穂積のゆず〉だそうで、穂積のゆずは昔から名産なのだそう。

ゆずは毎年、冬至にお風呂に浮かべるのが大好きなのですが、今回はせっかく無農薬のゆずなので、いろんな楽しみ方をしようと思いました。

冬至のゆず湯の由来を調べてみると、冬至の日に、ゆずの香りで邪気を払い、体の禊(みそぎ)をおこなう行う風習から来ているそうです。

実際に、ゆずにはビタミンCやβカロテンなどの成分が豊富で、冬を健やかに越えていくためのありがたい効能がたくさんあるので、理に適った風習だなと思いました。

どんな効能があるかというと、風邪などの感染症を予防してくれたり、動脈硬化を予防したり、高血圧を予防・改善してくれるとされています。

また、リラックス効果や美肌効果も期待でき、血流を改善したり、疲労回復、むくみの予防や改善、便秘の解消…など、たくさんの嬉しい効能があります。

お風呂に入れるのも、お料理として使うのも、寒い冬の季節にはありがたい存在です。

そんな、素敵なゆずがやってきたので、まずはお白湯を飲むときに、皮をほんのすこしだけ入れてみました。

すると、ゆず湯に浸かっているときと同じような、とてもいい香りが漂ってきます。

飲んでみると、お白湯の味もゆずが入っているほうがおいしい。

甘くないけれどいい香りがして飲みやすく、気分転換にもなるし、ビタミンCも一緒にとれるのが嬉しいです。

今度は、「ゆずの香りはほうじ茶とも合うかもしれない」と思い、ゆずの皮とほうじ茶の茶葉を混ぜて、すこし置いておきました。

そして飲んでみたところ、ほうじ茶+ゆずの皮のお茶も、おいしい。

ちょっとほうじ茶の味に酸味を感じやすくなったような気もするけど、これはこれでおいしいです。

ほかにも、大根の浅漬けに一緒に皮を入れたり、お鍋に入れたりして美味しくいただきました。

冬を楽しく健やかに過ごすヒントを、ゆずから教えてもらった気がします。

12月の草木染め

そろそろ寒くなってきたので、なにかあたたかいものが欲しくなる今日この頃。

今月はブランケットにもなる、大判ストールを染めてみることにしました。

ウールガーゼの布を、ブランケット兼大判ストールにすることに。

染めるのは、今まで集めてきた「玉ねぎの皮」にしました。

ちなみに、野菜の捨てるところ…と思われがちな玉ねぎの皮には、実は栄養がたくさんあり、うれしい効能があるのだそうです。玉ねぎの皮茶として売られていることもあります。

「ケルセチン」というポリフェノールの一種の栄養素が含まれていて、血液をサラサラにしてくれたり、血圧やコレステロール値を正常に保ってくれたりと、優秀な玉ねぎの皮。

そんな玉ねぎの皮を煮だしていくと、染液は茶色になってきます。

ちょっとオニオンスープのような香りがしてきました。

染液の準備ができたら、大判のウールストールを浸け、じっくりと染めていきます。

何度か重ねて染めていき、ストールが完成しました。

玉ねぎの皮から生まれた色は、キャメル色のような、あたたかい色でした。

富士吉田の冬は、まだまだこれから長く続きますが、ゆずや植物たちの恩恵を得ながら、寒い冬も楽しく過ごしていこうと心に思いました。

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藤崎 仁美

1989年名古屋市生まれ。大学ではフランス語を専攻。大学在学中、〈フジファブリック〉のイベントのために、はじめて富士吉田へ訪れる。卒業後は愛知県のエンジニアリング会社で総務を経て、社内異動によりNX(3DCAD)の講師を務める。
そのころ、仕事のかたわらで週末京都の学校に半年間通い、草木染めや手織りを体験。染織や自然と親しむ暮らしがしたいと思うようになる。そして、2015年、〈宮下織物株式会社〉へ入社するために富士吉田市へ移住。未経験から、ジャカード織物の機織り職人として6年間勤務し、2022年春に退職。
現在は、染料植物を育てて草木染めをしたり、植物と親しむ暮らしを楽しんでいる。

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