FUJIYOSHIDA DIARY MAGAZINE

土地・環境

藤崎 仁美

2023.07.05

草木とともにあるくらし15

6月の富士吉田
6月になり、庭では、ハーブたちがどんどんと成長しています。
昨年はじめて植えて一度枯れ、越冬して春に芽を出したマロウ。
初夏になり、めきめきと背を伸ばして私の背丈を超え、たくさんのつぼみをつけました。
ものすごい生命力を感じます。

そして先日、梅雨の合間に久しぶりに晴れた朝、一気にお花が咲きました。
艶のある、濃いブラックがかった紫色がうつくしい、大きなお花です。
このお花を見るまで、実はこの植物をマロウブルーと呼んでいたのですが、お花を見てわかりましたが、これはマロウブルーではなくて、ブラックマロウでした。もっと、黒くて紫色のお花です。
別名、クロタチアオイと呼ばれています。
昨年、マロウブルーとブラックマロウを両方植えていたので、どちらが育ってくれたのかわからなくなっていましたが、やっと種類が分かりました。

マロウブルーと同じく、ブラックマロウのお花の粘液質の成分が、のどや鼻などの粘膜を保護したり、胃腸などの炎症を緩和してくれる効能があるそうです。

そのためハーブティーとして飲まれたり、外用でローションなどにして使うと、敏感肌の人のお肌の炎症を抑えたり、保湿効果があるそうです。

少しお花を収穫しました。乾燥させて、飲んでみたり染めてみたりできたらいいなと思っています。

そしてこちらは、エキナセア。

はっとするような、パワフルでエキゾチックなつぼみをつけています。

昨年は植えてみたものの、小さいままでお花も咲かず枯れてしまったのですが、春にふたたびめきめきと生えてきて、ブラックマロウに迫る勢いで背を伸ばしながら、花を咲かせる準備をしています。

エキナセアは、ネイティブアメリカンの人たちが大切にしてきたハーブ。

伝染病や毒蛇に咬まれたときなどに使っていたそうです。

2019年にアメリカのニューメキシコ州のサンタフェを一人旅したときにも、乾燥地帯にエキナセアが生えていた記憶があります。

ちょっと、思い出を振り返ると、ちょうどエキナセアの写真がありました。

2019年に一人旅をしたときの写真です。

砂漠の乾燥地帯である、アメリカのニューメキシコ州。アルバカーキ空港に降り立って、バスで向かったサンタフェの町。

町のなかには、エキナセアが生えていました。

ニューメキシコ州は、ネイティブアメリカンの文化の濃い地域なので、土地に馴染み深いハーブが生えていることにも納得です。

日干し煉瓦のアドビ建築に、ハーブやお花が映えていました。

タチアオイ(ホリホック)も、町の中でよく見かけました。

すっと咲く姿がうつくしいお花でした。

庭のブラックマロウ(クロタチアオイ)と似ているなと思って調べたら、同じ仲間でした。

ちょっと思い出にひたってしまいましたが・・

思い出深い旅先で出会ったハーブたちが、今こうして揃って育ってくれていることに気づいて、驚いています。

ハーブのおかげで、旅先のあのころの自分と、今の自分が、なんだかつながっているのを感じられました。

エキナセアが咲くのは、きっとあと少し。楽しみです。

そんなこんなで、庭の植えられるスペースはぎゅうぎゅうになってきて、先月購入してきたハーブの苗を植えるスペースがないので、今年は畑に植えることにしました。

薬効をそなえているメディカルハーブを中心に、香りが美しくお料理にも使えるハーブ、そして染色にも使ってみたいハーブなどを少しずつ植えてみました。

広いところに植えたので、ハーブたちも気持ちよさそうです。

熱がでたときに良いフィーバーフューや、

カレンデュラや

バーベナや、そのほかいろいろなハーブを少し植えました。

その日に使いたい分のハーブを収穫して、料理に使えることがとても嬉しく美味しいです。

また、藍の苗も畑に植えました。

毎年、富士北麓は他の地域よりも寒いので、ゆっくりペースでしている種まき。

今年は例年よりもタイミングがちょっと遅くなったのですが、無事すくすく育ってくれています。

藍はとっても水を必要としますが、藍を植えた次の日くらいから梅雨に入ったので、ちょうどよいタイミング。

たっぷりと梅雨の恵みの雨を受けて、根もはり、育っています。

6月は、夏至のタイミング。夏至の日は、太陽の陽の気がいちばんに満ちるときなので、ハーブたちの成長もいちばんめざましい時期。

藍も、滋養深いこの時期に、エネルギーを蓄えて育ってくれるといいなと思っています。

私が藍を染められるのは、いつも梅雨明けなので、このタイミングだと、8月前くらいかな?と思います。

梅雨が明けて、晴れて藍の染めができるのを楽しみに、待つことにします。

雨の多いこの季節、忘れてはいけないのが、梅仕事。

毎年、6月に入ると、果物屋さんやスーパーに梅が並び始めます。

この時期にしか梅仕事はできないので、絶対このタイミングを逃してはならない!と急ぎ足で梅を購入してきました。

今年はまず、シンプルで簡単な、梅と氷砂糖だけの梅シロップを仕込みました。

きれいに煮沸したびんに、洗ってヘタをとって乾かしておいた梅と氷砂糖を交互に入れて、一日に何度かふるだけでできるので、簡単です。

水や炭酸水で割るだけでもおいしいけれど、今年は畑に植えたハーブも一緒に入れてみようと思って、梅シロップに炭酸水を注いだところに、摘んだローズマリーを入れて飲んでみました。

思ったほどローズマリーの香りは強くなかったですが、おいしかったです。

ちなみに梅ジュースは、旬でおいしいだけでなく、クエン酸やむくみをとるのに効果的なカリウムが豊富なので、梅雨時期にむくみやすい人にもぴったりです。

また、抗酸化作用をもつポリフェノールが豊富なため、体の酸化を防いでくれます。

こういったドリンクの力を借りて、梅雨で重くなりがちな心身を、スッキリさせる時間も大切にしようと思いました。

また梅干しも仕込みました。数年前からつくっている、ジップロックでつくる、紫蘇も入れない白梅干しです。

紫蘇を入れないのでカビなどの失敗のリスクも減らせるし、大きな容器を買わなくても、重しも買わないで家にある重い本をのせればできるので、ものすごく簡単。

そしてとっても美味しいので、大好きです。好きな塩を選んで作れるのも、手作りの梅干しの良いところだと思っています。

梅干しは美味しいのはもちろんのこと、ミネラルやカリウムが豊富で、クエン酸による疲労回復、肝機能を高めて血行促進・動脈硬化の予防や、カルシウムや鉄の吸収率を高めてくれたり、

食欲増進、整腸作用、殺菌作用で食中毒を予防してくれるなど、すこやかな暮らしを美味しく支えてくれる、心強い味方です。

梅雨が明けるまで待って、よいお天気のなかで梅の土用干しができるのが楽しみです。

6月の草木染め

本当は春によもぎを染めたかったのですが、タイミングを逃していました。

ちょうど畑で育っているよもぎを見つけたので、採って、色を染めることにしました。

せっかくなので、リネンの布を縫ってつくったコースターを、よもぎで染めていきます。

お鍋にお水とよもぎを入れて煮出して、最初の雑味は捨ててから、染液をつくっていきます。

体に良さそうなよもぎの香りのする蒸気が部屋に広がっていきます。

そして、下処理したコースターを入れて、ゆらゆらと染めていきました。

6月の夏至近い日のよもぎが見せてくれたのは、やさしくフレッシュな緑色でした。

梅ジュースを飲むときにも、ぴったりでした。

夏まで、もうあとすこし。

富士北麓の夏はとても短いと分かっているからこそ、かけぬけていく季節を惜しみなく楽しんでいきたいなと思います。

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藤崎 仁美

1989年名古屋市生まれ。大学ではフランス語を専攻。大学在学中、〈フジファブリック〉のイベントのために、はじめて富士吉田へ訪れる。卒業後は愛知県のエンジニアリング会社で総務を経て、社内異動によりNX(3DCAD)の講師を務める。
そのころ、仕事のかたわらで週末京都の学校に半年間通い、草木染めや手織りを体験。染織や自然と親しむ暮らしがしたいと思うようになる。そして、2015年、〈宮下織物株式会社〉へ入社するために富士吉田市へ移住。未経験から、ジャカード織物の機織り職人として6年間勤務し、2022年春に退職。
現在は、染料植物を育てて草木染めをしたり、植物と親しむ暮らしを楽しんでいる。

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