FUJIYOSHIDA DIARY MAGAZINE

土地・環境

藤崎 仁美

2022.04.25

草木とともにあるくらし 01

昨年度は、「ハタオリのあるくらし」をテーマに書かせていただきましたが、今年度は「草木とともにあるくらし」というタイトルで、富士吉田暮らしのなかで感じる日々の折々のこと、身近な四季の草木のこと、季節の草木染めのことなどを書かせていただこうと思っています。

どうぞよろしくお願いします。

4月の富士吉田の景色

私が富士吉田に住むようになってから、驚いたことがありました。

それは、4月になっても雪がよく降ること。

毎年のように4月に雪を見るので、春らしい陽気になっても、4月後半から5月の頃までは、タイヤ交換をしないで様子を見るようになりました。

桜と雪を一緒に見ることもあり、富士吉田に住むまで思いもしなかった風景だなぁと思います。

今年は、庭で咲き始めたチューリップを観察していたのですが、雪とチューリップを一緒に見るのもなんだか新鮮でした。

冬が長い富士吉田では、よくある美しい光景です。

ちなみに、このチューリップは暖かい日に大きく開いていましたが、雨が降って寒くなって、また今は花を閉じています。

そんな春らしくもなりつつ、寒さも残りつつ、の富士吉田。

私の4月は、桃の枝を草木染めすることに向き合っていました。

桃の花は、富士吉田では4月頃に咲きます。ここでは桜とほとんど同じ時期なのではないかとさえ思います。

それもあってなのか、富士吉田の雛祭りは、4月3日に行われるのが風習なのだそうです(全国的には3月)。

富士北麓は春が来るのがほかの地域よりも遅いからだと思いますが、ちゃんと桃のお花の時期に合わせているのだとしたら、なんだかいいなぁと思います。

私は、そんな桃の枝を、郡内の桃農家さんからいただくことができ、4月は嬉々として染めることに夢中になっていました。

実は、桃は私にとって世界で一番好きな食べ物。山梨の桃は、本当においしい。

そして桃の花は、前に住んでいたお家にも木があり、ピンク色のかわいいお花を見せてくれていたので、思い出深いお花でもあります。

農家さんがおいしい桃を育てるには、きっと、木をみつめ、どう枝を残して良い実をつけてもらうのかを考えるのだと思います。

桃が病気にならないように大切に育て、良い枝だけを残すために致し方なく剪定した枝。

桃の枝は、たっぷりとつぼみをつけ、枝まで赤く染まって、しっかり花を咲かせようと準備をしていました。

お花は咲かせられなかったけれど、春を待ち望んでいた桃の枝が蓄えていたエネルギーを、お花のかわりに、色として染めさせてもらえたらいいなと思いました。

染めるために、枝を細かく切り、じっくり煮出していきます。

桃の枝の、あまい香りが立ちのぼってきます。

そして、染めてあらわれたのは、こんな色でした。

春を迎えて、顔がほころんでいくような、優しい色になってくれました。

自分の住んでいる地域に育った植物で、富士山からのきれいな伏流水を使って、自然の色を染められること。そんな富士北麓の美しい環境に、心から感謝しています。

私の今年度は、この桃の春の色で始まりました。

これから、一気に植物が芽吹いていく季節。

富士吉田でのくらしが今年も楽しみです。

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藤崎 仁美

1989年名古屋市生まれ。大学ではフランス語を専攻。大学在学中、〈フジファブリック〉のイベントのために、はじめて富士吉田へ訪れる。卒業後は愛知県のエンジニアリング会社で総務を経て、社内異動によりNX(3DCAD)の講師を務める。
そのころ、仕事のかたわらで週末京都の学校に半年間通い、草木染めや手織りを体験。染織や自然と親しむ暮らしがしたいと思うようになる。そして、2015年、〈宮下織物株式会社〉へ入社するために富士吉田市へ移住。未経験から、ジャカード織物の機織り職人として6年間勤務し、2022年春に退職。
現在は、染料植物を育てて草木染めをしたり、植物と親しむ暮らしを楽しんでいる。

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