今年は長い夏でしたね。
冬が長く夏が短い富士吉田では、毎年この時期は夏の終わりを名残惜しく感じていましたが、今年は「やっと秋が来たなあ」と晴々とした気持ちです。
タイトル通り、今回は富士山編最終回!
ついについに、登ってきました〜!
出発は夜明け前の3時。
静まり返る街に意気揚々と現れるひとり、ふたり。みんな寝坊せず、登山口に向けて定刻の出発です。
今回の登山道に選んだのは静岡県側の富士宮口。
富士吉田市内からはおよそ1時間の道のりです。
予定通り4時過ぎに富士宮口五合目に到着。
夜明け前というのに駐車場はすでに満車に近い状態でした。
運良く空いていたところに駐車し、軽く朝食を済ませ、しばしのリラックスタイム。
五合目の時点で標高は約2,400mあり、この後の山行に向けて身体を高度に慣らします。
今回の登山中も高山病の症状で休んでいる方を複数見かけましたが、登山に詳しい仲間から事前に高山病予防について教えてもらったおかげで対策ができました。
大事なのは、五合目で30分から1時間ほど過ごして高度に順応させること。そして水分と睡眠をしっかり摂ることです。
空が白み始め、柔らかな光と雲海が私たちを迎えてくれました。
時刻は5時15分。美しい朝焼けに鼓舞され出発しました。
徐々に明るくなっていく空を背に、ザリザリと音を立てながら溶岩質の大地を進みます。
先は長いので力を入れず、『惰性で歩く』をテーマにゆるゆると。
しばらく歩いてふと振り返ると、朝焼けの中に存在感のある山が見えました。
ん、なんだか見覚えがあるような……?
なんと見えたのは富士山の影でした!
あんな遠くの雲にここまでくっきりと映るとは驚きです。富士山の西側にいる時のみ見られる絶景ですね。
高山植物のイタドリやイワツメクサ、ミヤマオトコヨモギなどを見ながら、ただひたすらに足を進める私たち。
六合目七合目、と山小屋に着くたびに水分と行動食を摂り少し休憩します。
不思議なことに長く休めば休むほど次の歩き出しの一歩が重く、一度そうなってしまうと元の軽さに戻るまで30分ほど歩かないといけません。
(気圧の影響で見事に膨れ上がったお菓子)
今回が今年3回目の富士登山という仲間曰く、この日は前日の雨のおかげで、滑りにくく砂埃もほとんどないという非常に歩きやすいコンディションだったそうです。
天気は穏やかな快晴で、暖かな陽射しと秋の風が心地よかったです。
いろいろとタイミングに恵まれています。
(どこまでも続く雲海は圧巻)
富士山は溶岩で覆われており植物も少ないため、景色が変わり映えしないと言われることもあります。
しかし、眼下に広がる雲海の美しさや同じようで違う溶岩の色、標高が上がるにつれて進む高山植物の紅葉具合など少し視点を持つことで道中も退屈することなく楽しめました。
九合半から鳥居が見えてるのになかなか辿り着けないジグザグ道を、心が折れそうになりながらも登り、ついに富士宮口の山頂に立ちました!
休憩を挟みながらおよそ6時間での登頂です。
感じたことのない達成感を胸にみんなで記念撮影。
富士山の火口を見下ろすと広く、深く、まるで別の惑星に降り立ったような光景でした。
(火口は写真では伝わらない圧倒的なスケール感)
呼吸を整えて最後の難関、富士山最高峰の剣ヶ峰に挑みます。
剣ヶ峰に向かう一直線の坂が地味に急でつらい。
それでもなんとか4人揃って剣ヶ峰に辿り着きました!
山頂も天気に恵まれ、清々しい空と私たちの表情。
怪我やトラブルなく登って来れたことを皆で称え合います。
体力とこの後の天気を考慮し、山頂を一周するお鉢巡りはせず下山をすることにしました。
下山の前に、メインイベントの山頂での腹ごしらえです。
富士山で食べるカップ麺はいつもの何倍も美味しい。
しっかりと休憩して、いざ下山。
なるべく小さなステップになるように、膝に負荷をかけないように砂利や岩の上を歩いていきます。
長い長い下山の道のりで「私が本当にこんなに登ったの?」と信じられない気持ちでした。
登山ハイになっていたのか、登りの記憶があまりないのです。
道中では一緒に登った仲間が率先してマウンテンクリーンをしてくれました。
登山者はマナーがいい人が多いので、ゴミは少なかったです。
八合目付近を歩いていると突然パラグライダーが現れました。
一体どこから来てどこに行くのか、雲の上を気持ちよさそうに飛んで行きました。
五合目付近では雲の中に突入し、細かなミストが日焼けで火照った肌を優しくクールダウンしてくれました。
一緒に登った仲間が撮ってくれた幻想的なお気に入りの一枚。
人生でもトップを争うほどの疲労感に耐え、無事下山することができました。
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こうして富士登山という私の今年の目標であり、長年の夢を叶えることができました!
山野草や野鳥を観察したり、自然の絵を描いたり、キノコ探しや有用植物が好きだったりと、それぞれの山の楽しみ方を持つ4人で数ヶ月前から計画を立て、三つ峠や八ヶ岳で練習を積み一つ一つ準備を重ねてきました。
準備も含めて楽しく積み上げて来れたのは3人の同志のおかげです。
山に囲まれた、山梨県。
この場所に住んでいることを生かして、これからも存分に登山を楽しみたいと思います。