ようやく今年も富士山に雪が積もりました。
馴染みある雄大な姿につい立ち止まってしまう、そんな12月の始まりです。
冬は夏よりも雲がかかりにくく昼間も市内から富士山頂まで一望できる日が多いですね。
連日、各国から訪れる旅行者たちも歩道から乗り出すように富士山へレンズを向けています。
この一年の『森でミネストローネ』を振り返ると、マウンテンクリーン活動や登山についてを
取り上げることが多かったように思います。
そこで今回は初回に立ち返ってタイトルの由来でもある、
『森でミネストローネを飲むように、装備も心構えもなくカジュアルに森や湖で過ごした時間』
を綴ってみます。
“森が身近にあること”
それは単に地理的な話だけでなく、ちょっとした日常の余白に「森に行く」という
選択肢が存在することだと思います。
富士山麓の大きな森、公園内の小さな森、原生林、人の手で作られた森。
見渡してみると森のグラデーションは幅広く、森という言葉が包括する範囲が思いの外大きいことに気づきます。
その恩恵はなんてことのない日にも。
とある土曜日のお昼時。
用事と用事の隙間時間ができて一度帰宅しようとしたけれど、澄み切った快晴と暖かい陽気に誘われ車をパン屋へ走らせました。
向かったのは、上吉田にあるアマノベーカリーさん。
懐かしい雰囲気の落ち着いた店内には、手に取りやすい価格でいろんなパンが並んでいます。
気になったパンをいくつか包んでもらい、目的地の諏訪の森公園(パインズパーク)へ。
到着したら、いつも車に積んでいる野掛けセットそしてパンとコーヒーを手に日のよく当たる場所を探します。
ちょうど良さそうな欅の木の下へシートを広げ、ふぅーっとひと息。
風が吹くと少し寒いけれど、太陽ってあったかーい!
深呼吸したらもうなんだか満たされた感じ。
カレーパン 120円
これぞ!王道のカレーパン。少し温かさも残っていてとてもおいしい。
誰もいないのをいいことに「うまい、うまい」と独り言が漏れてしまう。
12月に差し掛かるというのにまだ外で食事ができる、しかもアイスコーヒーなんて飲めちゃうことに感動です。
今年は秋が長くてうれしいです。
(風に吹かれた紙袋としばし追いかけっこ)
食後はコーヒーを飲みながら小さな姉妹の追いかけっこを眺めたり、快晴の中突如現れた雲を目で追ったり。
鳥の声がするとどこの木から聞こえたか耳と目を澄ませたりと、自分の周りで起きている活動を観察していました。
そうだ、と今日ここに来た理由を思い出して、ある一冊を取り出しました。
長野県富士見町にある好きな書店で最近手に入れたこちらの本。
これをひだまりの中で読みたかったのです。
読書にまつわる短いエッセイの散文集で、
本を読み始めたばかりの右手に持つ数ページの厚さの心許なさや、読んだ後の自分を想像して本を選ぶ時の心情に共感しながらどんどん読み進めていく。
どのくらい経った頃か、一際強い風が吹いて、自分の体が凍えて縮こまっていることに気づきました。
いつの間にか影が伸び辺りの日向は少なくなっていたようです。
寒さを忘れるほど本に没頭していたことにすこし可笑しくなりながら、さっと帰り支度。
思いつきから始まり、たった数時間の滞在だったけれど自分主体の時間の流れから飛び出してリセットされる感覚を味わえました。
こんな時にこそ、つよく感じること
近くに森があってよかった。
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おまけ
先日のマウンテンクリーンで開催した『森のランチ企画』でデザートを担当しました!
秋の森をイメージした、3種のお菓子を作ったのでご紹介します。
1.カツラの落ち葉の琥珀羹
落ち葉になるとキャラメル香を放つカツラ。
落ち葉を煮出したことで、樹液のような色合いに仕上がりました。
2.黄葉クロモジの琥珀羹
11月頃、鮮やかに黄葉し森を彩るクロモジは、青さが抜けたシャープな柑橘香を活かした味わいに。
細く刻んだクロモジの葉を琥珀羹の中に入れ込み、落葉の浮遊感の漂う姿になりました。
3.カツラ落ち葉の飴がけ
カツラ落ち葉を丸ごと食べられないかと考え、落ち葉の片面をべっこう飴でコーティングした落ち葉飴を作りました。
はじめに飴の甘香ばしさ、
だんだんとカツラの香りやスパイシーさが楽しめるおもしろいものが出来上がりました。
少々変わり種のお菓子でしたが、大人も子供達も「美味しい!」と食べてくれました。
落ち葉って食べられるんだ、黄葉すると香りが変わるんだ、と食経験から森の視点を持ち帰っていただけたらうれしいです。
今回もマウンテンクリーンに参加してくださった皆さんありがとうございました!
また暖かくなった頃に森のランチ会企画します🧤