FUJIYOSHIDA DIARY MAGAZINE

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藤崎 仁美

2024.02.05

草木とともにあるくらし22

1月の富士吉田

新しい年がはじまりました。

お花屋さんで働いているので、今年のお飾りはお花屋さんで買ったスワッグにしました。お飾りを飾ると、玄関もぱっと華やかになって、気持ちがいいです。

こうして気持ち新たに新しい年を迎えられることが「ありがたいなぁ」と感じます。日本の、年末に祓い清めてから新しい気持ちで新年を迎える文化は、ちゃんと節目の区切りを感じられていいものだなと思います。

お正月は、地域の氏神様へ参拝したり、

また別の山の神社で天狗さんのおみくじをひいてみたり。

ちょっと日を置いてから、富士山の大きな神社へとでかけました。晴れ晴れとして気持ちよい空気や、お手水の水に癒されます。

この北口本宮富士浅間神社は、三が日を過ぎても参拝者が大勢いて、きっといろんなところから来られているんだろうなと思います。

もう一カ所、河口湖のほうの大好きな神社へも行きました。

この神社は本当に木々が美しくて、穏やかな場所。行くたびに良い「気」を充電させてもらっています。

ご神木にもご挨拶を。上を見上げるだけで、なにか祓われるような気持ちになります。

寒いとついつい家のなかにこもりがちなのですが、こういう場所に身を置く時間は私にとって必要だったなぁと思い出しました。

環境によって、自分の「気」が変わることって、あなどれないと思います。ニュースを見続けることもできれば、気分転換のために一歩動くこともできる。

定期的に足を運んで、自分を整えることを今年はこまめにしたいなと思いました。

7日には、七草粥もおいしくいただきました。小さいころはよくわからないで食べていたお粥だけど、大人になると、お正月のあとのお粥のやさしいおいしさに癒されます。

私のいる地域では、この時期は寒くてまだ生えていないと思うし、この購入した七草はきっとハウスかなにかで栽培されているのかと思うのですが、昔の人はこの時期にもうこの七草を摘んでいたのでしょうか。

ひとつ、ふたつ、と自分でみつけた七草でお粥をつくれたら、春を数えているみたいで素敵だろうなと思いました。

ようやく富士吉田でもちらちらと雪が降りました。全体的に今年はあたたかいと思うのですが、雪を見ると冬らしく感じます。このときの雪は翌日にはすぐ解けたので、雪かきも必要ありませんでした。

あと数ヶ月、雪が積もる日は来るのでしょうか。富士吉田では4月くらいまで雪が降るので、まだまだこれからですが。


1月の草木染め

子供のころはよく、1月2日に「事始め」ということで、1年の最初に書初めをしたり習い事の練習をしたりしたものでした。

私も今年の始まりに、「染めをしよう」と思い立ちました。

今年の1月のはじまりは震災のニュースなど、気持ちが動揺したり落ち込んでくるような感じがあって、どうしても気持ちが落ちやすかった。なので、「なにか心の栄養になるような、目にすると元気が出るような色を染めたい、そんな色を見たいな」と思いました。

昨年庭で育てて、少しずつお花を摘んでは乾燥させていたマリーゴールド・タンジェリン・ジェムのことを思い出して、今こそ染めてみることにしました。

染めるのは、シルクの帯揚げです。

少し前に名古屋へ帰省したときに、たまたま大須というお寺や商店街があるところへ立ち寄った際に、中古の着物売り場にも寄りました。

そこには素敵な絞りの帯揚げがとても安く売られていたのですが、その絞りが布としてとても魅力的に見えてきたのです。「シルク100%で素敵な布」というのはあまりたくさん見かける機会がないし、あってもとても高価なので、私にとってはものすごく貴重です。

その帯揚げは白ではなくて赤と紺色の縁どりのように見えるものでした。色のおかげで少しカジュアルな雰囲気です。

帯揚げは帯のところで身に着けるものですが、布として見たら「首に巻いてもいいのでは」と思い購入して帰りました。

家で過ごすときやちょっと出かけるときに、その帯揚げをストールのように巻いて過ごしていたら、つけていることを忘れるくらい軽いのに、あたたかくて。

シルク100%で、手の込んだ絞りが入っている帯揚げで白いものを草木染めにしたらどんなふうになるだろう?と好奇心をもちはじめました。

その後、中古の帯揚げですてきな絞りのものを見つけて購入したので、今回はその帯揚げを染めてみることに。

全部が絞られていて、模様が美しいです。このままでもいいようだけれどやっぱり染めてみたいので、半分染めてみることにします。染めたときに、絞りがどれくらい残るのか?それも実験です。

まずは乾燥したお花をコトコト煮出していきます。

できた染液で、帯揚げを染めていきました。

そうして、こんな色になってくれました。

新しい年を迎えて、快晴のなかにさすまっすぐな陽の光のような、明るい黄色に染まってくれました。絞りの部分も少し緩まって広がった感じはありますが、ちゃんと凹凸は残ったままでした。

シルクなのであたたかく、軽くていい感じです。

ねじねじしてみたら、こんなふうにもなりました。絞りの部分にちりめんの雰囲気が出て、お正月の印象もあります。

綺麗な色、澄んだ色を見ると、どこか気持ちも晴れやかになるような気がします。実際に、色彩療法というものが大昔から世界にはあるそうです。

黄色は太陽の色、たんぽぽやミモザの色。おいしいたまご焼きの色。心に明るさや広がりをもたらしてくれたり、お腹があったかくふんわりするような、弛緩させてくれる色のような気がします。

色で自分の暮らしや心を整えることは、結構大事なことかもしれないと思いました。

小さなできることで植物や色と仲良くして、「自分の軸をいつも整えていけるような年にしよう」と心に決めた、そんな1月でした。

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藤崎 仁美

1989年名古屋市生まれ。大学ではフランス語を専攻。大学在学中、〈フジファブリック〉のイベントのために、はじめて富士吉田へ訪れる。卒業後は愛知県のエンジニアリング会社で総務を経て、社内異動によりNX(3DCAD)の講師を務める。
そのころ、仕事のかたわらで週末京都の学校に半年間通い、草木染めや手織りを体験。染織や自然と親しむ暮らしがしたいと思うようになる。そして、2015年、〈宮下織物株式会社〉へ入社するために富士吉田市へ移住。未経験から、ジャカード織物の機織り職人として6年間勤務し、2022年春に退職。
現在は、染料植物を育てて草木染めをしたり、植物と親しむ暮らしを楽しんでいる。

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