FUJIYOSHIDA DIARY MAGAZINE

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北山詩織

2024.02.20

森でミネストローネ 4 「日本のペッパー フウトウカズラ」

お料理に欠かせないスパイス、コショウ。

熱帯地域に分布する蔓(ツル)性の植物の果実の部分を私たちは使っています。

ブラックペッパーは完熟前の実を皮ごと乾燥したものを指し、完熟させて皮を取り除いたものをホワイトペッパーと呼びます。

そんなコショウの仲間、フウトウカズラという植物が日本には自生しています。

(フウトウカズラの葉と鮮やかな実)


コショウ科コショウ属。胡椒に似た香りをもつが辛味はなく、食用利用はあまりされていません。

年末に千葉で採れた野生のフウトウカズラの実をいただき、生の実を一粒かじるとなんとも青臭く、遠くにかすかに胡椒の香りが感じられました。

加工しておいしく食べようと3つの方法で仕込みました。





まずは実を房から外し、虫や不純物をよく洗い流します。

今回は保存食で一般的な塩漬け、酢漬け、オイル漬けを試します。


(左から赤ワインビネガー、オリーブオイル、天日塩)


保存袋に入れ、袋ごと軽く湯通しして殺菌。
さてどれが一番美味しくできるのか。





仕込みから3週間ほど経ち、みんなで食卓を囲む機会があったのでフウトウカズラの成果発表をしました。

仕上がりはこんな感じに。


(左上が酢漬け、右上がオイル漬け、下が塩漬け)


パッと見で酢漬けが一番鮮やかに色を残しているのがわかります。

3種とも生の実と比べて青さが抜けてコショウらしい風味が引き立っていました。

ワインビネガーのフルーティーさも相まってか、酢漬けのフウトウカズラが1番爽やかで雑味がなく感じました。

その日の献立は馬刺しにほうとう、ネギのグリル、野菜スティックにステーキ!


(食事の途中に焼きたてで提供されるステーキ…!)


山梨名物とご馳走の組み合わせに胸を躍らせながら、様々な食材とフウトウカズラを食べ合わせてみました。


(photo by 数々のご馳走を作ってくださった阿部さん)



やはりコショウの仲間、お肉との相性が非常にいいと感じました。

馬刺しには酢漬けのさっぱりした香りが、ステーキには塩漬けのやや青さの残る香りと塩味がよく合います。

マイルドなオイル漬けは甘いネギのグリルに合わせると絶品。

辛味はなくとも立派なスパイスです。これは美味しい。


(真っ赤な実で彩りもばっちり)



少量でもパンチのある香りで存在感のある魅力的な食材のフウトウカズラ。

いつか自分の目で野生のフウトウカズラを見つけてみたいと思いました。



昨年2023年の8月、夏らしい真っ青な空の日に森の植物を採集しフォレストビネガーを仕込みました。


内容は、ヒマラヤスギをメインに黒文字や檀香梅の枝葉と実。

そしてフルーティーさを出すために、蜜柑の皮のような爽やかなアブラチャンの実をたくさんとミカン科の葉山椒。

最後にアクセントとしてクマザサと赤松の樹皮を入れました。

(植物図鑑のような原材料紹介)


お酢に長く漬け込むので渋みや苦味が少ない爽やかなボタニカルを選定しました。

この時期ならではの実ものを入れて、スパイシーな風味を期待。


来月は完成したフォレストビネガーの味わいとビネガーを使ったドリンクをご紹介したいと思います。

どうぞお楽しみに!

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北山詩織

〈HERBSTAND〉スタッフ

1998年愛知県生まれ。大学でプログラミングを学んだのち、食べるのが好きなことと農業の可能性に惹かれ国内のハーブ農家を訪ねる。その中で植物がもつ様々な可能性を探究するHERBSTANDとご縁があり、インターンを経て新卒で就職と同時に移住。植物たちのサイクルに合わせて、山に畑に原野に走り回る日々を送っている。富士北麓の豊かな森や湖で過ごすゆったりとした時間が休日の楽しみ。

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