北山詩織

2024.04.20

森でミネストローネ6「さくっと冬山ティータイム」

寒い時期は山や公園に長くいられないのでどうしても家にこもる時間が増えますね。

カジュアルな森の過ごし方や植物の楽しみ方を紹介する 『森でミネストローネ』ですが、このところ植物の実験が続いていたので今回は山歩きについて書いていきます。

少し遡って2月の初めごろ、畑を一緒にやっている2人のチームメイトと山中湖にほど近い山に登りました。 

山に登ることが決まったのは2日前という弾丸スケジュール。前日の夜に最近はまっているパン作りに取り掛かりました。

発酵してむくむくふくらむ白い塊とイーストの香り、ほっぺたみたいな触り心地で癒やされます。

今回のプランは、三国峠から明神山(別名 鉄砲木の頭)まで登って富士山を望みながらティータイム。

(右 富士登山用に買った大げさなリュックを背負って出発)

この日は日差しがあったかく、上機嫌で歩き出す3人。

途中鹿に遭遇したり、野ばらのトゲに引っかかったりしつつ山頂に到着しました(1,291m)。

一息ついて、お茶を飲みながらそれぞれ持ち寄ったお菓子を広げ、いつもと違う角度の富士山を眺めました。

(小富士と呼ばれる富士山型に雪が積もる地形がよく見える)

ひとりが持ってきてくれた、手作りの味噌風味の黒糖ナッツがとても美味しくてお茶が進みました。

頂上標で記念撮影をしてあっという間の下山。

と、実はここまではウォーミングアップ。

それぞれ昼食を持ち、反対方向の三国山の山頂を目指して歩きます。

山に詳しいチームメイトが登山初心者の 2人でも楽しめるように、このルートを考えてくれました。

(途中、往路で入手したおみくじ入りチョコで運試しもしました)

この時期は下草がほとんどなく、地面や木にくっついた苔や地衣類をルーペで観察しながら進みました。

ミクロの世界の森に思いを馳せます。

(このとき夢中で覗き込んだのは苔ではなく動物のフン(笑) なんの動物か推理中)

頂上付近で見つけたのは、不自然に鮮やかな枝のかけら。

緑青腐菌(ロクショウグサレキン)がまわった木の一部です。

(自然界に青は少ないのでとても目立つ)

緑青腐菌はキノコの1種で、銅が酸化してできる緑青(ロクショウ)に似た色の菌糸を持ちます。もちろんキノコも青い。

倒木や枯れ木に発生する腐朽菌で、菌糸を伸ばした宿主自体も鮮やかに染め上げます。

このように青く染まった木は工芸品や草木染めに使われることもあるそうです。

程なくして山頂に着くと、山を隔てた静岡側のサーキットからブンブンとエンジン音が聞こえました。

平らなブナ林の中を進んでいくと様々な動物の気配や痕跡に気が付きます。

樹皮を剥いだ爪の跡や泥に残った足跡、少し警戒した鳥の鳴き声。

よくわからない緑色のにょろにょろはちょっと不気味でかわいい。

一通り散策し終えたころ、お腹の減り具合もピークに到達。

日当たりの良い地面に腰を下ろし、各自持ってきた昼食の準備に取り掛かります。

私はパンを温めるだけなので、小分けにして持ってきていたドライハーブを即興でブレンドし食前茶を振る舞いました。

(2月の山の寒さに熱々のお茶が沁みる)

ブレンドの内容は、白樺の上品なウッディさをベースにジュニパーベリーやルイボスティーでボディを出し、エルダーフラワーの軽やかな香りを加えました。

その場の雰囲気と手が動くままに混ぜ合わせたハーブティー。

山の上で飲むのにぴったりな森らしい1杯に仕上がりました。

パンは、シングルバーナーで香ばしく温めると焼き立てと同等の美味しさ。

みんなが持ってきてくれたカレーやスープと合わせていただきます。

風も出てきてあったまった体もすぐ冷えるので、ラーメンで体温保持(笑)

このとき棒ラーメンを初めて食べて、美味しさと手軽さに感動してハマりました。

食後の一杯は、名古屋の〈TRUNK COFFEE〉さんのコロンビア。

乳酸発酵したという珍しいコーヒー豆で、ハーブの酸化発酵を勉強しているメンバーに飲んでほしいと思って淹れました。

(黒糖ナッツおかわりしました)

お腹も膨れてぱぱっと片付けて下山したら、今回の日程は終了。

さくっと登ってぱっと解散できる環境と仲間たちはとてもありがたいです。

暖かくなったらまたちがう山を探検しましょう!

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北山詩織

〈HERBSTAND〉スタッフ

1998年愛知県生まれ。大学でプログラミングを学んだのち、食べるのが好きなことと農業の可能性に惹かれ国内のハーブ農家を訪ねる。その中で植物がもつ様々な可能性を探究するHERBSTANDとご縁があり、インターンを経て新卒で就職と同時に移住。植物たちのサイクルに合わせて、山に畑に原野に走り回る日々を送っている。富士北麓の豊かな森や湖で過ごすゆったりとした時間が休日の楽しみ。

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