FUJIYOSHIDA DIARY MAGAZINE

コミュニティ

森口 理緒

2020.09.23

ハタオリ文化人類記06 「引きが強い土曜日」

何気なく放ったひと言が、

思いもよらないたくさんの出会いや発見を

引き寄せることがある。

そんなポジティブで忙しい土曜日のはなし。

9月の土曜日は何かしら予定が入っていて、たいてい富士吉田市の外にいる。

9月5日の土曜日、私は八王子の古民家〈つくるのいえ〉にいた。

お昼どきに縁側でまったりしていると、ふと目に入ったのは愛らしいサボテンたち。

森口「縁側に並んでいるサボテン、どこで買ったんですか?」

奥田さん(つくるのいえ主)「瑞穂町に行った時にみつけたJAのお店に、たくさん可愛いサボテンが売っていて。しかもすごくお手頃な値段で」

森口「ちょうど育ててみたいと思ってたんですよね。私も行こうかな」

奥田さん「お、じゃあ今から行く!? またサボテン迎え入れたいし」

森口「いいですね! 行きたいです!」

急遽サボテンを求めに、八王子市街地から青梅の方へ行き当たりばったりのドライブが始まったのだけれど、

嬉しいことにサボテンついでに織物探訪のチャンスもやってきた。

山梨や八王子と同じく、

西東京の上の方に位置する瑞穂や青梅の地域は

かつて織物産業が盛んだった地域。

ドライブに連れ出してくれた奥田さんが、

交流のある染色工場に連れて行ってくれた。

伺ったのは、〈小山織物〉さん。

もともと村山大島紬に使用される糸の板締染めをしていた小山さんは、80年代ごろから生地の板締め染めを開始したそう。土曜の急な訪問にも関わらず工場の中へ招いてくれた。

薄いストールに施された、手で線を描いたような染め模様。

染まっていない部分にも少し染料が滲んでいるのは、板締めならでは。

DCブランドに採用されたことにより、

様々なファッションブランドから依頼が来ていたという。

もともと糸を染めるために作られた板。

無数の溝が掘られた何枚もの板に糸を置き、重ねてボトルをしめる。

板と板にしっかり挟まれた部分は染まらず、溝に入った糸は染料が染み込む。

何層に重ねた板を締めるための太いボルト

板を作る工程から生地の柄を計算する板締め。

複雑すぎて理解が追いつかなかった。

急な訪問だったためあまりお話を聞くことができなかったが、

今度はしっかりアポをとってじっくりお話を聞きに行きたい。

青梅地域を走りながらGoogleMapsを見ていると、

青梅地域にかなりの「ノコギリ屋根」が残っていることを発見。

今まで注目してこなかった青梅地域の織物産業だけれど、

この日小さな探検をしてみて、建築が残っているおもしろさを発見した。

勢い強めの織物探訪を楽しみながら、本来の目的だったサボテンのお店へ。

閉店間際駆け込みで入ったお店には、キュートなサボテンが無数に陳列されていた。

一目惚れして、2つのサボテンを購入し、最後に温泉と美味しい夜ご飯を食べ、つくるのいえへ帰った。

この日購入した2つのサボテン(左:足の裏ちゃん / 右:三つ子ちゃん)

「サボテンほしい」のひと言に、

織物の勉強と温泉と美味しいご飯が付いてきた、

とても有意義な土曜日。

何気ない会話や小さな欲望が色々なものを連れてくることがあるから、

この日は自分の積極性をプラスに捉えて「引きの強い土曜日」とする。

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森口 理緒

富士吉田市繊維産業活性化地域おこし協力隊

大学在学中、山梨ハタオリ産地のWEBサイトを運営するデザイン会社〈トリッキー〉で学生ライターをしていたことがきっかけで、繊維産業に興味を抱く。大学卒業後、富士吉田市繊維産業活性化地域おこし協力隊として活動しながら、工場とデザイナーをつなげる存在になれるよう勉強中。

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