「HATAORI-MACHI FESTIVAL GUIDE BOOK」誕生
『ハタオリマチフェスティバル』の5年間の歴史をまとめた総合ガイドブックが誕生しました。機織のまちで働く人々の営みや、今までとこれからの産地の目指す方向、富士山の麓でもあるまちの景色やそこでの生活、ハタフェスがあったから生まれたことなどがまとめられています。
編集は〈BEEK〉。濃密な内容でありながら、写真を中心とした構成で「見やすさ」と「読み応え」が両立した、さすがの一冊になりました
本の紹介はこちらをご覧ください。
ぼくは〈装いの庭〉として、『問う。』のコラムページと、〈流しの洋裁人〉原田陽子さんの記事を書きました。
個人的なおすすめは、ハタオリマチのテーマ曲『LOOM』を歌っている田辺玄さん・森ゆにさんのインタビュー。この記事を読んだあとに『LOOM』を聴くと泣けてきます。
さて、そんなガイドブックですが、まとめているときは、機屋さんや街の人たちの言葉を載せれていないことがちょっとだけ心残りでした。斜に構えて見るならば、当事者たちの気持ちを無視しているんじゃないか、と捉えられるかもしれない。だけど、出来上がってみると、それは良い意味でハタフェスのスタンスを示しているように思えました。
ぼくら(いや、少なくともぼく)がイベントをやる中で意識してきたのは、営んでいる人たちに“無理に押し付けない”ということでした。そこに割くリソースがあるなら、本業を伸ばすことに時間を使ってほしいのです。商売繁盛が事業継続の至上命題なのだから。
誤解をおそれずにいえば、イベントに関しては所詮お祭りなんだ、と思っています。だから、自分みたいな自由に動ける人間ができることを全力でやります。実現のために足りない部分は、全部埋めるくらいの気持ちで。
運営の中でも、もっと街の人たちが関わるべきという意見はあります。関わりたいと言ってくれる街の人たちもいます。でも、おそらくそれをしすぎていないからハタフェスはハタフェスになっている。…本を眺めてそんなことを思いました。
ハタフェスは織物や街の事業者が中心になって自分たちを自慢気に飾るのではなく、さまざまなジャンルの人がこの土地で長く続けられてきた産業や、そこで暮らす人に対して贈る讃歌なのです。
とはいえ、ただいま準備中の今年の開催のときはそれは変わるかもしれません。街の人たちが自分たちの誇りとして運営に関わってくれそうです。そのあたりのことはハタフェスの公式HPでの情報開示を楽しみにお待ちください。